2012 Fiscal Year Annual Research Report
任意の厚みを有する糖鎖高分子からなるグライコカプセルの作製と利用
Project/Area Number |
23750119
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桑折 道済 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80512376)
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Keywords | 糖鎖高分子 / 高分子微粒子 / コア-シェル粒子 / 表面開始リビンググラフト重合 / レクチン認識能 / カプセル材料 |
Research Abstract |
糖鎖を表面に有する糖鎖複合材料は,レクチン(糖鎖を特異的に認識するタンパク質)や病原菌の検出材料として有用である。最終年度は,糖鎖高分子からなるグライコカプセルの作製ならびに高感度なレクチン認識材料としての利用を目指して実験を行ない,下記の2点の結果を得た。 (1)高分子コア微粒子の新規作成法の開発 本研究の目標の1つは,カプセルの内部空間の大きさと糖鎖高分子シェル層の厚みを自在に制御した高分子カプセルの簡便な作製法の確立することである。この内部空間の大きさの制御には,高分子コア微粒子の大きさの制御が重要となる。昨年度までに,環境に優しい高分子微粒子の新規合成法の開発に成功した。本年度はこれらの合成法の詳細な条件検討を行なうとともに,酵素触媒による各種微粒子合成法のメカニズムの解明を行ない,効率のよい微粒子合成法を確立した。 (2)高分子ブラシからなる新規カプセル材料作製法の開発 これまで,高分子コア微粒子上から表面開始リビング重合により高分子シェル層を構築する際は,微粒子合成時に共重合により重合開始基を導入するのが一般的で,表面への均一な重合開始基導入が困難であった。そこで本年度は,ムール貝の模倣物質として知られるポリドーパミン被覆を利用した,新たな開始基導入法の開発を試みた。その結果,ポリドーパミンによる微粒子表面改質時にATRP開始基修飾ドーパミンを共縮合することで,ATRP開始基を均一かつ高密度に高分子微粒子表面に導入することに成功した。さらにATRPにより高分子ブラシを付与後,コアを除去することで,ポリドーパミン薄膜を下地とする高分子ブラシからなる新たなカプセル作製法へと応用した。本手法は,糖鎖高分子のみならず様々な高分子からなるカプセル作製への適応が期待される。
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