2012 Fiscal Year Research-status Report
剛直性直鎖及び環状高分子の分子間相互作用と新奇液晶構造の探索
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23750128
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺尾 憲 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60334132)
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Keywords | アミロース誘導体 / カードラン誘導体 / 剛直環状鎖 / 光散乱 / 小角X線散乱 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、直鎖及び環状多糖誘導体の溶液中における分子形態を決定するために、小角X線散乱、光散乱、赤外吸収等の測定を行った。カードランフェニルカルバメート誘導体が剛直になること、アミロースアルキルカルバメート誘導体の局所らせん構造がアルキル鎖長に著しく依存することを見出した。さらに、環状アミロース誘導体が、他の方法では調製困難な剛直環状鎖として振る舞うことを確認した。さらに位置選択置換型のアミロースカルバメート誘導体の溶液中の剛直性及びらせん構造についても調べた。これらの結果を4報の論文として報告した。また、剛直環状鎖の溶液物性についてはさらに検討を進め、剛直性の起源が分子内水素結合の場合には、局所分子形態が直鎖と同じであるのに対し、溶媒分子との水素結合が分子形態に影響を及ぼす系については、直鎖と環状鎖でそのらせん構造にかなり顕著な差がみられた。すなわち、直鎖と環状鎖で低分子との相互作用が異なることが見出された。この類の高分子はキラル分離に利用されていることもあり、高分子の局所曲率が低分子との相互作用に影響を及ぼすことは、キラル分離カラム中の高分子の形態が分離能に影響を与える可能性を示唆している。また、前年行った液晶についての研究についても解析を進め、乳酸エチル中で観測された非常に濃度の高いスメクチック相の解析を中心に現在論文執筆をほぼ終えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
直鎖について得られた希薄溶液データをもとに、そのらせん構造および剛直性について新たに3報の論文を報告した。環状剛直鎖についてもすでに1報の論文が発表済みであり、さらに2報の論文の執筆をほぼ終えている。また、液晶についての論文をほぼ執筆を終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
より低濃度での液晶相の出現が期待される低温領域で直鎖及び環状アミロース誘導体のSAXS測定を行う。また、現在執筆中の3報の論文を早期に完成させ発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
SPring-8での液晶の構造解析実験に伴う旅費及び、成果報告に関する旅費に用いる予定である
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Research Products
(11 results)