• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

サイズ効果を用いた高プロトン伝導高分子電解質膜の創成とメカニズム解析

Research Project

Project/Area Number 23750132
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

藤井 義久  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70578062)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords高分子電解質 / 表面 / 界面
Research Abstract

固体高分子形燃料電池に使用されているパーフルオロスルホン酸系の電解質膜は、プロトンを選択的に透過する役割を果たしている。膜は主鎖部分が集まった疎水性の骨格領域とイオン交換基(スルホン基)が集まった親水性のクラスター領域に相分離した構造である。このクラスター領域の大きさは5 nm程度であり、クラスター領域に水を取り込んで、その中をプロトンが移動することが知られている。こうした導電形態のため、電解質膜の機能向上はそのほとんどが化学構造の観点から研究が展開されている。申請者は、ナノメートルオーダーのサイズ効果という、これまでに例のない、全く新しい観点から高プロトン伝導化にアプローチした。 平成23年度は、電解質膜における表面・界面の効果を評価し、得られた知見を基にナノレベルで表面・界面の構造を精密制御することを試みた。 本研究では、表面・界面のサイズ効果を積極的に導入する方法として、薄膜、多層積層膜を用いた。具体的には、プロトン伝導率を膜厚の関数として評価した。また、最適な厚さの高分子膜を調製し、得られるナノ薄膜を蓄積することで電池を試作、その電池特性を評価した。 電解質膜をナノレベルまで薄膜化し、バルクに対する表面および界面の割合を増加させることで、相分離構造が変化することが予想される。また、構造変化に伴いプロトン伝導率が変化するため、高プロトン伝導率を示す最適な膜厚が存在すると考えられる。走査プローブ顕微鏡測定、静的接触角測定および中性子反射率測定に基づき評価した表面・界面の構造はバルクと異なることを明らかにした。また、インピーダンス測定に基づき評価したプロトン電導度は膜厚に依存し変化した。以上の結果は、得られた知見はナノレベルで表面・界面の構造を精密制御し、電解質膜の機能向上を図るために必要不可欠である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

パーフルオロスルホン酸系の電解質膜の凝集構造に膜厚の減少が及ぼす影響を評価することを目的とし、電解質膜上の対水接触角測定および原子間力顕微鏡観察を行った。その結果、膜厚が減少すると膜表面がより疎水的になった。また、中性子反射率測定に基づき膜厚方向における凝集構造を評価した。その結果、膜を薄化すると表面にフルオロカーボン鎖が濃縮し、その程度は膜厚に依存することが明らかとなった。したがって、電解質膜におけるプロトン伝導度の低下は、薄膜化によって表面に形成されるフルオロカーボン鎖の濃縮と関係があることを見出した。 また、水環境下における電解質膜の凝集状態について検討した。まず、水環境下における電解質膜の膨潤状態に対する膜厚依存性を検討した。その結果、電解質膜中への水分子の拡散は膜厚の減少に伴い低下した。したがって、膜の凝集構造が水分子の膜内部への拡散挙動を支配している可能性が示唆された。 さらに、高分子電解質膜のプロトン伝導度における膜厚依存性を明らかにすることを目的とし、電気化学的インピーダンス測定に基づき電解質膜のプロトン伝導度に及ぼす膜厚効果を評価した。その結果、電解質膜を薄化するとプロトン伝導度が低下することが明らかになった。 以上の結果は、平成23年度の『電解質膜における表面・界面の効果を評価し、得られた知見を基にナノレベルで表面・界面の構造を精密制御に活かす』という研究目的を十分に達成しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

これまでに得られた知見をもとに、薄膜状態における高分子電解質膜の水環境下における凝集状態と水収着挙動の関係を明らかにし、ナノサイズ化された電解質膜のプロトン伝導性のメカニズム解析を実施する予定である。さらに、平成24年度には、それまでの成果に基づき、表面・界面の構造が制御されたナノ構造体を組織化することで、高プロトン伝導率を有する電解質膜を構築する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本課題では、電解質および電極触媒としてNafionおよびパラジウムをそれぞれ使用しており、次年度も継続して使用する。また、高分子電解質の薄膜化およびナノサイズ化を達成するために既存の装置の改良を行う必要があり、研究費は装置備品の追加にも使用する予定である。さらに、得られた高分子電解質膜の評価は、走査プローブ顕微鏡測定およびインピーダンス測定に基づき行うため、それらの消耗品の購入にも研究費を充てる予定である。 平成23年度に得られた成果を学術会議等で発表を行い、国内外の学術的、工業的な基礎知見の収集や討議ため、各一回の欧州と米国への渡航、国内の学会への参加を計画している。継続して中性子反射率測定を行うため日本原子力研究開発機構(茨城県)での実験も想定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 高分子電解質薄膜の凝集構造に及ぼす表面・界面の効果2011

    • Author(s)
      藤井義久、JungYeon PARK、山田悟史、松本広重、田中敬二
    • Organizer
      第31回表面科学学術講演会
    • Place of Presentation
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • Year and Date
      2011-12-15
  • [Presentation] 高分子電解質膜の凝集構造とその膜厚依存性2011

    • Author(s)
      藤井義久、JungYeon PARK、松本広重、田中敬二
    • Organizer
      平成23年度繊維学会秋季研究発表会
    • Place of Presentation
      徳島文理大学香川キャンパス(香川県さぬき市)
    • Year and Date
      2011-09-08

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi