2011 Fiscal Year Research-status Report
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23750144
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 洋平 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40589834)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 光電変換 / ナノ構造体 / ナノチューブ / 導電性高分子 |
Research Abstract |
超分子集合体に関する研究として、亜鉛ポルフィリンとフラーレンが連結した分子から、各部位が1分子層レベルで分離積層しヘテロ接合した自己組織化ナノチューブと、交互積層した自己組織化ナノチューブの選択的な作り分けに成功した。これらの光電変換機能について詳細に検討したところ、前者では顕著な光伝導特性が観測されたのに対し、後者はほとんど光機能を示さず、分子配列構造の違いと関連づけてJ. Am. Chem. Soc. 誌に論文発表した。また、別の超分子ナノチューブに関する研究として、ヘキサベンゾコロネンとトリニトロフルオレノンが連結した分子からなる自己組織化ナノチューブの光キャリアダイナミクスに関する詳細な研究を行い、J. Chem. Phys. Lett. 誌に論文発表した。 また、フルオレン部位を共通部位として含む3種類のパイ共役系交互共重合体の自己組織化に関する研究を開始した。いくつかの検討を行った結果、これら3つの交互共重合体いずれも、直径0.5~10 μm程度の球状構造体を形成することを見出した。比較実験として、単一モノマーのみからなるいくつかのパイ共役高分子についても自己組織化を試みたが、いずれも形状の整った球状構造体は得られなかった。現在、球状構造体形成のメカニズムについて検討するとともに、これら球状構造体のサイズ制御、集積化、および光電子機能について今後研究を進めていく。また、ヘキサベンゾコロネン―フラーレンからなる自己組織化ナノチューブ内部の光電変換に関する研究を進めた。作製したナノチューブ薄膜を用いて、フェムト秒分光を行い、光キャリア発生のダイナミクスに関する研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室の立ち上げを伴っていたにもかかわらず、論文4報(原著論文2報、レビュー論文2報)を発表できたことから、進行としては大変順調であった。また、研究に関しても、新しくスタートした研究についてはまだ途中段階ではあるが、いずれも平成24年度中には論文投稿が出来ると考えている。本年度より研究室の学生の人数も倍増したことから、本年度はさらに研究を加速度的に進めようと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.パイ共役系交互共重合体の自己組織化と高次集積化および発光特性:パイ共役系交互共重合体による球状構造体形成のメカニズムを追究するとともに、サイズ制御、高次集積化、および作製したフォトニック結晶による発光寿命の増大や光電変換特性の向上を目指す。2.強誘電ポリマーであるポリフッ化ビニリデンおよびその共重合体の自己組織化によるナノ粒子の構築と誘電特性およびフォトニック結晶作製による非線形光学効果:現在研究を進めている強誘電ポリマーの自己組織化により作製した直径200 nm程度の球状構造体を用いて、集積化によるフォトニック結晶の構築を試みる。作製したフォトニック結晶を用いて、強誘電特性の向上や高次高調波発生、発光寿命の増大を目指した研究を進める。3.生体分子を用いた電子・光機能材料の創成:廃棄生体分子、特に毛髪の成分を用いた電子・光機能材料の構築を行う。具体的には、毛髪中のメラニン色素を用いた有機薄膜太陽電池の構築、アルファヘリックスを形成するケラチンによる高誘電素子の作製に関する研究をスタートする。また、アミノ酸配列をプログラムした人工ポリペプチドによる、強誘電体の構築に関する研究を進め、誘電・蓄電素子の開発を行う。4.配置・配向・位置制御した有機分子ドメインからなる有機半導体素子の開発:基板の表面処理や磁場などの外場により、有機薄膜中のパイ共役分子の配向やドメインサイズ、位置を精密に制御した有機半導体薄膜を作製する。作製した有機薄膜太陽電池による光電変換特性の向上、有機薄膜トランジスタによる電界効果移動度の向上を目指した研究を進める
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有機薄膜太陽電池を大気に触れずに作製するために、昨年度購入した真空蒸着チャンバーにロードロック機構を導入する。また、不活性ガス下で作業するためのグローブボックスを購入予定である。
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Research Products
(15 results)