2012 Fiscal Year Annual Research Report
キラルイオン液体の光学選択的溶媒和力を用いたキラル体分離膜の開発
Project/Area Number |
23750147
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
一川 尚広 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80598798)
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Keywords | アミノ酸イオン液体 / 双連続キュービック液晶 / 光学分割 |
Research Abstract |
生体適応材料や創薬などの研究においてアミノ酸の光学分割は非常に重要であり、より低コストで簡便に分割する手法の開発が未だ求められているのが現状である。そこで本研究では、キラルイオン液体の光学選択的溶媒和力を用いた新規光学分割手法の開発を目指した。 分割対象化合物(特にアミノ酸など)のL体・D体をキラルイオン液体中に溶かしこめば、サイズの異なるクラスター構造を形成することが予想される。このサイズの違いを利用して、サイズ選択分離膜を用いることで光学分割を実現できるのではないかと構想した。キラルイオン液体としてはアミノ酸イオン液体に着目した。サイズ選択分離膜としては自己組織的に三次元ナノチャンネル構造を形成する双連続キュービック液晶に着目した。 種々のアミノ酸イオン液体を合成し、両親媒性化合物と複合化した。複合体の液晶性や分子集合構造を調べた。構造解析は、偏光顕微鏡観察・示差走査熱量測定・X線回折測定を用いて行った。複合体はイオン液体のイオン構造や両親媒性分子の分子構造の違いによって多種多様のナノ集合構造を形成した。それらの検討の中で、適切にイオン液体と両親媒性の化合物の組み合わせることで目的の双連続キュービック液晶相を発現することに成功した。得られた複合体の液晶性の詳細な検討から、双連続キュービック液晶構造内において、キラルなイオン液体は三次元的なナノチャンネル状に組織化されていることがわかった。アミノ酸イオン液体の物理化学的な性質を詳細に調べたところ、アミノ酸イオン液体の高い水素結合能が双連続キュービック相の発現に重要であることを明らかとした。これらの結果は、アミノ酸イオン液体の新しい可能性として学術的に非常に興味深く、現在、海外学術誌へ論文として結果を投稿中である。 今後、これらのナノチャンネル構造を利用することで、ゲスト分子の光学分割分離膜への展開へ繋がれば非常に興味深い。
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Research Products
(6 results)