2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23750149
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今岡 享稔 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (80398635)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高分子構造・物性 / 電子・電気材料 / デンドリマー / 電荷分離 / ポルフィリン / 有機導体 |
Research Abstract |
ルテニウムポルフィリンをコアに有するフェニルアゾメチンデンドリマーをコンバージェント法により新規に合成した。流体力学半径の計測より従来から合成している亜鉛ポルフィリンコアのデンドリマーと同等の分子サイズを有していることが明らかとなった。光誘起電子移動についてはベンゾニトリル中で0.5MのTBAPF6を支持塩として2.5 mMの2,6-dichlorobenzoquinoneとの電荷分離を試みたところ、寿命が390μsでの電荷分離を確認した。電荷分離状態では680nmの吸収が増大するが、これは亜鉛ポルフィリンコアで観測されていたものと同じ挙動である。デンドリマーではないRuTPP(CO)と比較して、7倍の電荷分離長寿命化に成功した。同様にアクセプター分子であるフラーレン(C60)誘導体であるPCBMを用いて同様の条件で電子移動の計測を行った。ポルフィリンだけでなくフラーレンも直接励起されるので700nm付近にPCBMの三重項励起状態の吸収が現れたが、共存下での減衰は加速した。650nmの過渡吸収の時間減衰が緩やかに減衰していることから、ルテニウムコアととPCBMとの間の電荷分離状態形成を確認した。指数関数によるフィッティングで電荷分離寿命は290μsとなった。また、選択的分子変換触媒としての展開にむけて基礎的な知見を得るため、デンドリマーの内部空間を活用した分子の形状認識について調べた。様々な形状を有するピリジン誘導体をゲスト分子として用い、デンドリマーとの会合定数をUV-vis吸収を用いた滴定や等温滴定カロリメトリー(ITC)より算出した。結果、特定形状(Y字型)の分子が選択的に強く相互作用することが確認された。この傾向は亜鉛ポルフィリンがコアのデンドリマーでも同様であり、デンドリマー内部のキャビティが分子の取り込みの選択性を決めていることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ルテニウムポルフィリンをコアにしたデンドリマーの合成を行い、その基礎物性および光誘起電子移動による安定な電荷分離状態生成まで完了した。また、分子認識の基礎的な知見まで得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、暗反応における分子変換触媒としての基本的な特性を明らかにし、電子移動計と組み合わせて光を駆動力とした分子変換を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度と同様、経費の大部分は試薬等の消耗品に充てる。また、学会発表等を行うための旅費、その他として共通機器の使用料なども計上する。
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