2011 Fiscal Year Research-status Report
高機能性を有する形状制御型合金ナノ触媒の設計と創製
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23750160
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 浩和 京都大学, 物質―細胞統合システム拠点, 助教 (30512694)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 水素吸蔵 / 形状制御 |
Research Abstract |
平成23年度では常温・常圧で多量の水素を吸蔵するPdのナノ結晶に着目し、結晶面が水素吸蔵特性に及ぼす影響について検討した。保護剤としてPVPを用い、Pd塩をアスコルビン酸およびクエン酸で還元することで、立方体と八面体の形状を有するPdナノクリスタルをそれぞれ作製した。透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって、得られたPdナノ結晶の粒径および形状を調べた。水素が吸蔵された際の格子の膨張について調べるため、水素圧力下での粉末X線回折(XRD)測定を行った。さらに、水素圧力-組成等温(PCT)曲線測定および水素吸蔵速度測定を調べた。TEM写真から、立方体型および八面体型Pdナノクリスタルの平均粒径はそれぞれ12.1 ± 3.1 nm、11.8 ± 1.9 nmであった。また、格子面間隔から立方体型は(100)面、八面体型は(111)面が表面に露出していることがわかった。PCT曲線測定からPdナノ結晶は形状に関係なく水素吸蔵能を有することがわかった。Pdナノ結晶の粉末XRDパターンから、立方体、八面体の両方でfccの構造を有しており、水素圧力による回折ピークの低角度側へのシフトが観測されたことから、水素吸蔵に伴い格子が膨張していることがわかった。興味深いことに、同じ時間間隔で測定を行ったにも拘らず、八面体では回折ピークが完全にシフトしているのに対して、立方体では2成分のピークが存在していることがわかった。そこで、水素吸蔵速度を検討するため、水素圧の時間変化測定を行った結果、111面を結晶面として持つ八面体は100面を結晶面として持つ立方体型より水素吸蔵速度が速いことが明らかとなった。これらの結果により、111面を有する結晶面では100面に比べ、効率的に水素分子を原子状に解離する能力が高いことが示唆され、今後の高機能性ナノ触媒の創製指針を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
111面を有する結晶面では100面に比べ、効率的に水素分子を原子状に解離する能力が高いことを見出した。形状に伴う水素吸蔵特性を初めて明らかにすることで、今後の高機能性ナノ触媒の創製指針を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は形状制御された合金ナノ結晶を合成し、対水素反応性や触媒評価を行うことにより、高機能性を有する合金ナノ結晶を創製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. ナノ粒子の合成を行うために必要な試薬・器具として使用する。2. 対水素機能性評価実験に必要な器具に使用する。3. 得られた成果を発表するための学会費等に使用する。
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Research Products
(7 results)