2012 Fiscal Year Annual Research Report
階層横断的自律構造を有する含ホウ素ソフト粒子の合成と機能化開拓
Project/Area Number |
23750167
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西藪 隆平 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (00432865)
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Keywords | ホウ素化合物 / 不均一触媒 / 金ナノ粒子 / ポリビニルアルコール / ボロン酸 / ゲル / ケモセンサー |
Research Abstract |
多価ボロン酸と多価アルコールとの自己組織化により形成される含ホウ素分子集合体を基盤素材とした機能性材料の開発を行った.ベンゼン-1,4-ジボロン酸とペンタエリスリトールとの自己組織化により得られた花弁状マイクロ粒子の表面に金を担持したところ,平均粒径が2.7nmの金ナノ粒子が担持されることを見出した.金ナノ粒子の触媒活性を期待し,4-ニトロスチレンの水素化反応に当該複合体を適用した.その結果,ニトロ基だけが還元された4-アミノスチレンが収率91%,選択率99%で生成物として得られ,ビニル基が還元された生成物の収率は1%以下であった.これらの収率と選択性は,有機物を担体に用いた不均一系金触媒では最も高い値であった.各種分光学的手法により,基質である4-ニトロスチレンのニトロ基と,担体に含まれるホウ素原子との相互作用が,高い収率と選択性を導くことを明らかにした.芳香族アミンは工業製品の有用な反応中間体であるため,ニトロ基を選択的に還元する当該触媒は低環境負荷方触媒反応の実現に資するものであり,含ホウ素系分子集合体が金ナノ粒子触媒の担体として有用であることが示された. 一方,多価アルコールとしてポリビニルアルコールを適用したところ,ポリビニルアルコールがベンゼン-1,4-ジボロン酸によって架橋されたゲルが得られることを見出した.当該ゲルのソフトマテリアルへの応用として,重金属イオンを蛍光検出できる材料の開発を行った.銅(II)イオンに対して蛍光応答するボロン酸を新規に合成し,当該ゲルに組み込んだところ,得られたゲルは蛍光を示し,銅(II)イオンに対して選択的な蛍光消光を示した.その限界検出濃度は環境水の基準値よりも低く,環境水中の銅(II)イオンをオンサイトでモニタリングできる材料としての当該ゲルの利用可能性が示された.
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