2012 Fiscal Year Research-status Report
ディスク状分子を有するブロック共重合体の精密構造制御と光電変換デバイスへの応用
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23750169
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
相見 順子 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80579821)
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Keywords | 高分子化学 |
Research Abstract |
本研究は、有機半導体ディスク状分子を柔軟で加工性に優れる高分子薄膜中で三次元的に集積化させ、光電変換デバイス材料へと応用することを目的とする。初年度、設計・合成したフタロシアニンを末端に有するブロックコポリマー、フタロシアニンー(ポリメチルメタクリレート-b-ポリスチレン)(Pc-PMMA-b-PS)について、溶液中および薄膜中での集合体挙動を精査し、デバイス応用への可能性を探索した。Pc-PMMA-b-PSのトルエン溶液からスピンコートにより得られた高分子薄膜中で、ブロックコポリマーはミクロ相分離し、ドメイン間隔20~40nm程度のシリンダー構造を形成した。一方で、ポリマー中のフタロシアニン分子はπ-π相互作用により凝集化することを明らかにした。得られた高分子薄膜自体の電気伝導度は非常に小さいことが分かったため、より簡便に高分子薄膜中での有機半導体分子の集積化を達成するための新たな分子デザインとして、フタロシアニンをコアに持つスターポリマーを設計・合成した。この高分子薄膜を用いてキャリアの移動度評価を検討したところ、長寿命のキャリア生成が確認でき、新たな材料としての可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画に沿って、昨年度に設計・合成したフタロシアニン含有ブロックコポリマーについて、デバイスとしての有用性の評価を行った。石英基板上に高分子薄膜を作成し、時間分解マイクロ派電気伝導度法(TRMC)による移動度評価を試みた。しかし得られた電気伝導度は非常に低く、アモルファスの高分子に覆われた有機半導体内でのキャリアの生成・移動が円滑に行われていないことが示唆された。そこで、新しい分子のデザインとして、フタロシアニンをコアに持つスターポリマーを設計・合成した。ポリブチルアクリレートを側鎖に有するフタロシアニンスターポリマー、Pc-(PBA2)4において、TRMCによる移動度評価を検討し、新規物質によるデバイスへの有用性を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
新規に得られたフタロシアニンスターポリマーを用いて、有機デバイスへの有用性を探索する。様々なポリマーを側鎖に持つスターポリマーを用意し、それぞれの集合体挙動を精査し、最適な集合体構造を持つ高分子薄膜を作成する。さらに、フタロシアニン含有ブロックコポリマーにアクセプター分子を導入する。薄膜形成後にアクセプター性分子を浸透させる、あるいは第二のブロック部位に共有結合で導入する方法を検討する。得られるブロックコポリマーを用いて、有機薄膜太陽電池デバイスとしての評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有機デバイスの評価に重点を置き、石英基板やITO電極などの消耗物品を購入する。得られる薄膜の微視的観察のために、顕微鏡(走査型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡)観察用の消耗物品(TEMグリッドや AFMのカンチレバー)が随時必要となる。さらに、得られた研究成果の配信のため、論文投稿に関わる研究費の使用を予定している。
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