2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23750172
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲木 信介 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 講師 (70456268)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高分子反応 / 電解反応 / 共役系高分子 / 導電性高分子 / 両極反応 / バイポーラ電極 / 環境調和型プロセス / パラレル反応 |
Research Abstract |
本研究課題では従来法では不可能であった高分子のパラレル反応法の構築を目的とした。高分子電解反応法に基づき、陽極酸化反応および陰極還元反応をワンポット中で同時に行うことで、1種類の高分子から2種類の生成高分子を得ることに成功し、高分子のパラレル反応という概念を確立するに至った。 具体的にはポリフルオレノール誘導体の電解酸化的カルボニル化および陰極還元的水素化を適用し、基質高分子を陽極・陰極に塗布成膜し、支持電解質を含むイソプロパノール溶液中で定電流電解反応を行うことで所望の生成物を高効率で得た。 また、バイポーラ電極を用いた高分子のパラレル反応にも成功した。この系においては、陽極面および陰極面を同時に有し、かつ電位勾配が生じている電極を用いるため、塗布した高分子に傾斜的な電位を印加することが可能となった。従って、同一高分子膜でありながらその場所によって様々な反応率およびそれに応じた物性を有する傾斜材料を得ることができた。 高分子電解反応を両極で行うことでパラレル反応という新しい概念を創出することに加え、両極を効率的に利用することで従来法よりも電流効率が格段に向上する、すなわち環境調和型プロセスの構築という点でも非常に意義深い知見を得ることができた。 次年度は2種類の高分子のパラレル反応、また、積層型バイポーラ電極を用いたパラレル反応系を検討し、パラレル反応の汎用性の拡大および生産性の向上を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は「ワンポット中での高分子パラレル反応の確立」であったが、基質となる高分子設計・合成から酸化および還元反応条件検討、さらには両極パラレル反応系の最適化まで非常にスムーズに展開できた。 また、「バイポーラ電極を利用したパラレル反応」についても、電解セルの作成、動作条件検討に留まらず、すでに傾斜材料創製に成功している。 このように、本研究は当初の計画以上に進展しており、次年度計画をも少し達成した段階にあり、さらに踏み込んだ発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
「両極を活用したパラレル反応」について、当初の計画の通り、反応系の汎用性拡大を目指す。また、陰極反応として使用できる電極が亜鉛のみという課題が浮かび上がっているため、新しい陰極材料の探索も行う。ホウ素ドープダイヤモンド電極などが候補として挙げられる。 「バイポーラ電極を利用したパラレル反応」について、当初の計画の通り、電解セル中の電位分布のシミュレーションを試みる。同時に、新規計画として電位分布の実測にも挑戦する。両者の結果を合わせることでより強固な理論的展開ができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の研究は既存の設備品等を効率よく使用できたため、次年度使用額が生じた。次年度の新しい展開としてホウ素ドープダイヤモンドの使用を予定しているが、これら高価な電極材料の購入に充てる。また、シミュレーションソフトの購入や研究成果発表のための旅費は計画通りである。その他、学会参加費や装置修理費用などが計画当初より多めに生じる恐れがある。
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Research Products
(40 results)