2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23750172
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲木 信介 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 講師 (70456268)
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Keywords | 高分子反応 / 導電性高分子 / 両極反応 / パラレル反応 / 高効率反応 / 環境調和型プロセス / 傾斜材料 / 電解反応 |
Research Abstract |
本研究課題では従来法では不可能であった高分子のパラレル反応法の構築を目的とした。前年度において、ポリフルオレノール誘導体の陽極酸化反応および陰極還元反応をワンポット中で同時に行うことで、1種類の高分子から2種類の生成高分子を得ることに成功し、高分子のパラレル反応という概念をすでに確立している。 最終年度においては、特にバイポーラ電極を用いたパラレル反応系の構築を目的とし、①高分子傾斜材料の創製、②複数のバイポーラ電極上でのパラレル高分子反応、の2点について重点的な検討を行った。以下に具体的な成果を述べる。 【高分子傾斜材料の創製】ポリフルオレノール誘導体をボロンドープダイヤモンド(BDD)基板上に成膜し、バイポーラ電極を誘起することで、陽極端では酸化反応、陰極端では還元反応を進行させることに成功し、同一膜でありながら分子組成が傾斜的に変化する導電性高分子膜を得ることに成功した。バイポーラ電極上に生じる電位勾配を見事に転写した高分子材料の創製に成功したといえる。 【複数のバイポーラ電極上でのパラレル高分子反応】ワイヤレス駆動のバイポーラ電極を複数個誘起することにより、高分子電解反応の反応場を増設し、ワンポット中でのパラレル高分子反応の拡張を試みた。バイポーラ電極の陽極部分に基質高分子を成膜した試料、陰極部分に基質高分子を成膜した試料をそれぞれ電解セル中に設置し、バイポーラ電解を行ったところ、所望の反応がそれぞれの極で進行したことが見出され、パラレル反応を達成した。この概念を用いれば、2つ以上の高分子反応場を同時に駆動することができ、まさにパラレル高分子反応系として革新的な技術となり得る。 以上、本研究課題は研究期間内に目的とした高分子の両極電解反応を達成し、さらにバイポーラ電気化学を用いることでより生産性の高い、高効率なパラレル高分子反応系の構築に成功した。
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Research Products
(30 results)