2013 Fiscal Year Annual Research Report
触媒及び反応媒体の完全回収・再利用によるゼロエミッション型不斉合成システムの開発
Project/Area Number |
23750176
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古野 裕史 九州大学, グリーンアジア国際リーダー研究センター, 准教授 (90335993)
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Keywords | 環境調和型有機合成 / イオン液体 / キラル希土類金属錯体 / イオン性触媒 |
Research Abstract |
反応溶媒と不斉触媒の同時回収・再利用を実現する環境調和型精密合成システムの開発を目指し,イオン液体との高い親和性を有する新規なキラル金属錯体の設計・合成及び触媒活性能の評価をおこなった。配位子の基本骨格として四級アンモニウム部を導入した(R)-1,1-ビ-2-ナフトール誘導体を用い、これを装着した種々の金属錯体を合成して、不斉反応の触媒として使用した。金属錯体としては希土類金属イオンを中心に検討をおこなった。 触媒のリーチング調査から、アンモニウム性置換基がイオン液体との親和性の発現に極めて有効であり、効率的な不斉反応場の構築には置換基のかさ高さと反応点との距離が重要であることもわかった。またイオン液体のみを反応溶媒として検討したが、触媒能がイオン液体の種類に大きく影響されることがわかった。特にアニオン部がかさ高くなるにつれて触媒活性、エナンチオ選択性ともに向上していく顕著な傾向がみられた。これはアニオン部分の塩基性や配位性とはあまり相関がなく、興味深い知見と言える。さらに触媒の対イオンが触媒能に与える影響を調べた結果などから、触媒活性種に関する知見が得られた。 これらの結果から触媒、反応溶媒等の種々の条件を検討した結果、不斉Diels-Alder反応を効果的に触媒し、目的の付加体を定量的かつ高立体選択的に得るキラルスカンジウム錯体ーイオン液体システムの開発に成功した。また反応後の有機溶媒による生成物、未反応基質の抽出分離後、触媒を含むイオン液体を再度反応に用いたところ、4回目の使用においても目的の光学活性なDiels-Alder付加体が定量的に得られ、システムの回収・再利用性も確認された。
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