2011 Fiscal Year Research-status Report
光反応基を有する側鎖間架橋ヘリカルペプチドのバイオツールとしての応用
Project/Area Number |
23750184
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
藤本 和久 九州産業大学, 工学部, 准教授 (40334718)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 光機能 / α‐ヘリックス / 架橋ペプチド / 化学修飾 |
Research Abstract |
当該研究者は、短鎖ペプチドのα‐ヘリックス構造を安定化させるための手法として種々のクロスリンク剤を用いた側鎖間架橋による安定化手法を確立させている。本実施課題において、この手法で合成した側鎖間架橋ヘリカルペプチドに光反応基を導入したバイオツールを開発し、実例をもってその有用性を示すことを目標とし、研究を行っている。平成23年度において、実際に光反応基を導入する前に種々の蛍光基を架橋ヘリカルペプチドのアミノ末端に導入し、短鎖架橋ヘリカルペプチドの化学修飾に対する一般性を確認することにした。蛍光ラベル化後、ラベル化による光物性、ならびにヘリックス構造に与える影響を検証するためにラベル化ペプチドの蛍光スペクトル、ならびにCDスペクトルを測定した。蛍光基として、ピレン・アルキニルピレン・ペリレン・クマリンを用いた。アルキニルピレンで蛍光ラベル化されたぺプチドにおいては、自己会合している可能性を示唆する結果が見られたが、アルキニルピレン以外の蛍光基に関しては自己会合を誘起することもなく、ヘリックス構造に対して影響をほとんど与えることがなかった。また、蛍光特性に大きな影響が見られなかったことから、架橋ヘリカルペプチドのアミノ末端に導入された蛍光基の光物性が保持されることがわかった。得られた結果より、架橋ヘリカルペプチドのアミノ末端に光反応基を導入しても大きな影響がないと予想される。上記研究に加えて、架橋部位にジアリールエテン骨格を持つ架橋ヘリカルペプチドを合成し、これとDNAとの相互作用を光照射によって制御することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要において述べたように、架橋ヘリカルペプチド構造のアミノ末端、ならびに架橋部位において光機能化できることがわかった。これら結果をもとに平成24年度研究を展開していけば、目的とする光反応基を有する側鎖間架橋ヘリカルペプチドを開発できると考えらえる。上記の理由から、本実施課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度において、架橋ヘリカルペプチドのアミノ末端、ならびに架橋部位における光機能化の目処がついたので、平成24年度においては光反応基を有する架橋ヘリカルペプチドを合成する。具体的には、DNAに結合可能な架橋ヘリカルペプチドのアミノ末端にジアジリンを導入し、これとDNAを相互作用させ、光照射した際に両者間で共有結合が形成されるかを確認する。研究の進捗次第で、標的をDNAからタンパクとして研究を展開していく。その際、必要に応じて共同研究を行っていく。共同研究先は、富山大薬、ならびに東北大薬を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度、約11万円の繰越金が生じた。その理由として、研究室に所属している学生数の関係から、当初の予定に比べて消耗薬品が生じなかったことがあげられる。平成24年度においては、学生数が増えたことからペプチド合成するための試薬が大量に必要となることが予想される。そこで、繰越金を合算した研究費は主にペプチド合成用の試薬代として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)