2012 Fiscal Year Research-status Report
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23750193
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
星野 友 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40554689)
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Keywords | プラスチック抗体 / リビング重合 / メリチン / 多官能性高分子 / 分子認識 / ナノ粒子 / ペプチド / NIPAm |
Research Abstract |
リビング重合法によりポリNイソプロピルアクリルアミドを主原料とした分子量分散の狭い多官能性高分子のライブラリーを調製した。初めに1000merと300merのライブラリーを構築し、メリチンを標的分子として、多官能性高分子との相互作用をスクリーニングしたところ、疎水性の強いN-tert-butylアクリルアミド(TBAm)と負電荷を有するアクリル酸の両方を有する高分子だけがメリチンと相互作用することが明らかになった。また、メリチンの相対的結合容量は、分子量に依らず機能性モノマーの共重合比に依存することが解った。この結果は、以前行ったナノ粒子の結果と一致した。しかし、高分子の単位質量あたりの結合容量の絶対値は全体的にナノ粒子の結合容量よりも大きいことがわかった。これはナノ粒子に比べ高分子鎖内の立体障害が少ないためだと考えられる。 次に、30merと15merの高分子ライブラリーを調製し、メリチンとの相互作用を調べた。その結果、1000merや300merの結果と同様に疎水性の強いN-tert-butylアクリルアミド(TBAm)と負電荷を有するアクリル酸の両方を有する高分子だけがメリチンと相互作用することが明らかになった。しかし、1000merや300merの結果と異なりモノマーの共重合比ではなく、共重合数がメリチン結合挙動に大きな影響を与えると言うことが明らかになった。また、分子量が小さくなるに従ってメリチンとの結合の強さが劇的に低下していくことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は初めに、多官能性高分子のライブラリーを合成し、必要なモノマー組成を明らかにし、次いで分子量の異なるライブラリーを合成し、最低限必要な分子量を明らかにする予定であった。 計画通り、リビング重合法によりポリNイソプロピルアクリルアミドを主原料とした分子量分散の狭い多官能性高分子のライブラリーを調製した。初めに1000merと300merのライブラリーを構築し、メリチンを標的分子として、多官能性高分子との相互作用をスクリーニングしたところ、疎水性の強いN-tert-butylアクリルアミド(TBAm)と負電荷を有するアクリル酸の両方を有する高分子だけがメリチンと相互作用することが明らかになった。また、メリチンの相対的結合容量は、分子量に依らず機能性モノマーの共重合比に依存することが解った。この結果は、以前行ったナノ粒子の結果と一致した。しかし、高分子の単位質量あたりの結合容量の絶対値は全体的にナノ粒子の結合容量よりも大きいことがわかった。これはナノ粒子に比べ高分子鎖内の立体障害が少ないためだと考えられる。 次に、計画通り30merと15merの高分子ライブラリーを調製し、メリチンとの相互作用を調べた。その結果、1000merや300merの結果と同様に疎水性の強いN-tert-butylアクリルアミド(TBAm)と負電荷を有するアクリル酸の両方を有する高分子だけがメリチンと相互作用することが明らかになった。しかし、1000merや300merの結果と異なりモノマーの共重合比ではなく、共重合数がメリチン結合挙動に大きな影響を与えると言うことが明らかになった。また、分子量が小さくなるに従ってメリチンとの結合の強さが劇的に低下していくことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに最適化した多官能性高分子はメリチンと強く相互作用し、狭い分子量分布を持つが、高分子の立体構造は完全にランダムである。そこで重合段階でモノマーと共にメリチンを共在させ、ペプチドインプリント高分子を合成するとモノマーとメリチンが相互作用している状態でメリンを鋳型として単分散高分子がインプリント重合されると考えられる。重合後に鋳型であるメリチンを取り除きメリチンの有無で合成される高分子の分子量、分子認識能、立体規則性がどの様に変化するかを一年目と同様の方法で解析する。 また合成した高分子はインプリント重合の有無に関わらず多様な分子構造を持つ高分子の混合物である。そこで三年目は、合成した高分子を、メリチンとの相互作用の強さの違いを利用して分離・精製する。申請者はこれまでの研究でタンパク質のアフィニティー精製法をプラスチック抗体に応用する事に成功している(J. Am. Chem. Soc. 2010)。具体的には、メリチンをアガロースビーズに固定化し、プラスチック抗体とインキュベートする事でメリチン結合能のあるプラスチック抗体をビーズ表面に単離した。続いて、ビーズを洗浄してメリチンと弱く結合するプラスチック抗体を取り除き、最後にビーズに残ったプラスチック抗体を溶出することでメリチンに強く結合するプラスチック抗体を単離した。初めに既に報告した方法と同様にバッチ法によりメリチンに強く結合する単分散プラスチック抗体を粗精製する。次に、メリチンのフラグメントペプチドを固定したビーズを調整し、カラムに充填して低圧クロマトグラフィー(LPLC)に接続し、LPLC にて溶出液の塩強度、変性剤濃度又は誘電率を変化させながら、粗精製単分散プラスチック抗体を精密精製する事で、メリチンの特定配列を認識し、分子構造が限りなく均一なモノクローナルプラスチック抗体を単離する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでに最適化した多官能性高分子はメリチンと強く相互作用し、狭い分子量分布を持つが、高分子の立体構造は完全にランダムである。そこで重合段階でモノマーと共にメリチンを共在させ、ペプチドインプリント高分子を合成するとモノマーとメリチンが相互作用している状態でメリンを鋳型として単分散高分子がインプリント重合されると考えられる。そのためのメリチンを購入する。 また合成した高分子はインプリント重合の有無に関わらず多様な分子構造を持つ高分子の混合物である。そこで三年目は、合成した高分子を、メリチンとの相互作用の強さの違いを利用して分離・精製する。申請者はこれまでの研究でタンパク質のアフィニティー精製法をプラスチック抗体に応用する事に成功している(J. Am. Chem. Soc. 2010)。具体的には、メリチンをアガロースビーズに固定化し、プラスチック抗体とインキュベートする事でメリチン結合能のあるプラスチック抗体をビーズ表面に単離した。続いて、ビーズを洗浄してメリチンと弱く結合するプラスチック抗体を取り除き、最後にビーズに残ったプラスチック抗体を溶出することでメリチンに強く結合するプラスチック抗体を単離した。本研究をリビング重合した多官能性高分子に対して行うために、ビーズおよびカラム等の消耗品を購入する。
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Research Products
(22 results)