2012 Fiscal Year Research-status Report
ホタルルシフェラーゼの補酵素A結合部位の探索と立体選択性発現理由の解明
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23750197
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 太一郎 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60423901)
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Keywords | ホタルルシフェラーゼ / チオエステル化 / 立体選択性 / 補酵素A / 結合部位 |
Research Abstract |
発光反応を触媒する酵素として有名なホタルルシフェラーゼは、それとは全く違う立体選択的なチオエステル化反応をも触媒できる。しかし立体選択性発現理由の詳細や補酵素A(coenzyme A)結合部位など、未だ解明されていない部分もある。そこで本研究では、①補酵素A結合部位および構造変化に必須のアミノ酸残基を明らかにすること、また得られた情報を基に②立体選択性が発現する理由を解明することを目標とした研究を行うことを計画している。 研究初年度にはまず、チオエステル化活性発現に必要なアミノ酸残基の特定を行った。その結果、チオエステル化活性発現に強い影響を与える部位を複数ヶ所見出すことに成功した。 これらの部位は、申請者が当初予想していた補酵素Aの結合とドメイン構造変化のいずれかに関わっていると考えられる。そこで今年度は、これらアミノ酸部位の役割を明らかにすることを目指した。具体的には、特定されたアミノ酸部位が補酵素Aの結合とドメイン構造変化のどちらに関与しているのかを明らかにするために、得られた変異体を用いた速度論解析を行った。結果を野生型酵素と比較することによって、どちらの要因によって酵素活性が変化したのかを予想した。検討を進めた結果、チオエステル化活性に影響を与える10ヶ所のアミノ酸残基の働きは少なくとも2種類に分類されることが分かった。つまり速度論パラメータの変化の違いが、申請者が当初予想した補酵素Aの結合とドメイン構造変化のいずれかを示しているということが示唆される結果を得た。また、発光活性についても変異箇所および導入されたアミノ酸の種類によってその挙動は全く異なるということが分かった。これら速度論結果と発光特性結果を詳細に解析することによって、チオエステル化反応におけるアミノ酸残基の役割を明らかにできると考え、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は、初年度の検討結果より特定されたアミノ酸部位が補酵素Aの結合とドメイン構造変化のどちらに関与しているのかを明らかにすることであった。検討を進めた結果、チオエステル化活性に影響を与える10ヶ所のアミノ酸残基の働きは少なくとも2種類に分類されることが分かった。また、発光活性についても変異箇所および導入されたアミノ酸の種類によってその挙動は全く異なるということも明らかにできた。これらの結果を詳細に解析することによって、アミノ酸部位の役割を明らかにできると考えられる。よって本年度の目標はおおむね達成できたと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討によって、チオエステル化活性発現に必要なアミノ酸残基を複数箇所特定し、それらの部位のランダム変異体について速度論パラメータを得ることができた。また、それらの部位の働きは少なくとも2種類に分類されることが分かった。また、発光活性についても変異箇所および導入されたアミノ酸の種類によってその挙動は全く異なるということも明らかにできた。 そこで最終年度は、特定されたアミノ酸部位が補酵素Aの結合とドメイン構造変化のどちらに関与しているのかを明確に区別することを目指す。具体的には、特定されたアミノ酸部位が、補酵素Aの結合とドメイン構造変化のどちらに関与しているのかを明らかにするために、デヒドロルシフェリンおよびデヒドロルシフェリル-AMPに対する発光阻害を指標とした活性測定も行う。本アッセイ結果と補酵素Aに対する速度論解析結果を総合することによって、それぞれの部位がチオエステル化段階においてどのような役割を担っているのかを明確にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画通り、今年度は物品購入およびカナダでの国際学会(ISBC2012)における成果発表旅費(学生に対する旅費)として利用したが、一部について来年度に繰り越すこととなった。本資金のうち一部は、次年度(平成25年度)イギリスにて開催予定の国際学会(Biotrans2013)における成果発表旅費として利用する予定である。その他残金については物品購入費用に利用させていただく予定である。
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