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2012 Fiscal Year Research-status Report

カルバ糖を基盤としたヒト型擬似糖鎖の系統的合成法の開発

Research Project

Project/Area Number 23750199
Research InstitutionNigata University of Phermacy and Applied Life Sciences

Principal Investigator

宮崎 達雄  新潟薬科大学, 応用生物科学部, 助教 (70410222)

Keywords2-デオキシ-シロ-イノソース / カルバ糖 / 擬似糖 / 擬似糖鎖
Research Abstract

本課題の目的は、組換え大腸菌より数百グラムスケールにて生産可能である2-デオキシ-scyllo-イノソース(DOI)を鍵原料に、高効率的・系統的なカルバ糖の合成法を確立して、カルバ糖を有する擬似糖鎖を構築することである。そのために、平成24年度は以下に示す3つの課題に取り組んだ。
(1) DOIから合成した6-O-Ac-カルバ-β-D-グルコースの有する4つのエクアトリアル位のOH基に対してピバロイル化反応を試み、ヒドロキシ基の部分保護反応を検討した。その結果、-20℃にて反応を行うと1,3-di-O-Piv体が主生成物として得られることが判明した(65%)。一方、80℃にて反応を試みると主生成物はtri-O-Piv体となり、1,2,3-Piv体、1,3,4-Piv体、1,2,4-Piv体の収率がそれぞれ35%, 21%, 21%となることがわかった。これらの部分保護体より5a-カルバ-β-D-ガラクトース、5a-カルバ-β-D-マンノース、5a-カルバ-β-D-アロースの合成を達成した。
(2) 上記 (1)にて得られた6-O-Ac-1,3-di-O-Piv体の2位OH基にTf基を導入後、4位のOH基をアセチル化し、最後にNaN3にて2位のアジド化を試みた。次いでアジド基をアセトアミド基に変換し脱保護することで、5a-カルバ-N-アセチル-β-D-マンノサミンの合成を達成した。
(3) DOIより10グラムスケールで合成したカルバ-β-D-グルコースを原料に1位に活性基を有するカルバグルコース供与体(Ts体、CMs体、Tf体)を合成した。またカルバ-β-D-グルコースの4位と6位をベンジリデン基で保護後、1位から3位OH基をベンジル化し、次いでベンジリデンアセタールの還元開裂反応を試みた。その結果、4位もしくは6位にヒドロキシ基を有するカルバグルコース受容体を合成できた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画において平成24年度以降の課題は、(1) α結合を有するカルバ糖の合成を試みること、(2)カルバ-β-D-ガラクトースとカルバ-α-D-ガラクトースを原料として用い、求核的反転反応により糖鎖末端部分にカルバ糖を組み込み、ヒト型擬似糖鎖の合成を検討すること、(3)カルバ-β-D-GlcNAcとカルバ-β-D-GalNAcの合成、以上の3つを設定している。
(1) に関しては、α結合を有するカルバ糖を合成する上での原料となるβ結合を有するカルバ糖の新たな合成ルートを立案し、5a-カルバ-β-D-ガラクトース、5a-カルバ-β-D-マンノース、5a-カルバ-β-D-アロースの合成を達成した。さらに平成23年度に合成したカルバ-β-D-グルコースを原料に、2,3位と4,6位にイソプロピリデン基を導入し、次いで1位のヒドロキシ基を反転させる合成ルートによりカルバ-α-D-グルコースの合成を達成した。
(2) に関しては、原料となるカルバ-β-D-ガラクトースとカルバ-α-D-ガラクトースの効率的な合成ルートが、現在なお検討中であるため、カルバ糖を糖鎖末端部分に組み込むためのモデル実験として、効率的な合成法が確立できたカルバ-β-D-グルコースを原料に、そのカップリング反応を検討することとした。現時点で、3種類のカルバグルコース供与体と3種類のカルバグルコース受容体の合成を達成している。
(3) に関しては、平成23年度に合成予定であった5a-カルバ-N-アセチル-β-D-マンノサミンが合成できた。この合成を種々検討した結果として、アミノ糖のカルバ糖を合成する場合は、Wittig反応とヒドロホウ素化反応による6位のヒドロキシメチル基の構築を先とし、その後、アセトアミド基を導入する手法が好ましいことが判明した。
以上に述べたように、研究はおおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度は、種々のカルバ糖の合成を進めるとともに、カルバ糖同士、もしくはカルバ糖と糖鎖を繋ぐカップリング反応を検討する。主な課題を以下に挙げる。
(1) これまでに合成が完了したβ結合を有するカルバ糖(カルバガラクトース、カルバマンノース、カルバアロース)を原料として、そのアノメリック位のヒドロキシ基を反転させ、α体に変換する反応を検討する。特に、本研究のターゲットの合成に必要となるカルバ-β-D-ガラクトースとカルバ-α-D-ガラクトースの合成を優先する。
(2) 平成24年度に確立した5a-カルバ-N-アセチル-β-D-マンノサミンの合成ルートを参考にして、ヒト型糖鎖の構成糖のひとつであるN-アセチル-グルコサミンのカルバ糖の合成を検討する。
(3) カルバ糖を糖鎖末端部分に組み込むためのモデル実験として、平成24年度に合成が完了したカルバグルコース供与体(Ts体、CMs体、Tf体)とカルバグルコース受容体(6-OH体、4-OH体、1-OH体)を用いて、カルバ糖同士のカップリング反応を検討する。
(4) 上記(1)にて合成予定であるカルバ-β-D-ガラクトースとカルバ-α-D-ガラクトースを原料として、N-アセチルグルコサミン誘導体とカップリング反応を試み、カルバガラクトースを非還元末端部分に有するヒト型糖鎖の合成を検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

必要となる実験機器はほぼ整っているので、研究費の主な使途は、有機試薬、有機溶媒、シリカゲルなどの精製樹脂、ガラス器具である。ただ油回転式真空ポンプの購入が必要となる可能性がある。また本研究成果を学会にて発表するための交通費にも使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] カルバグルコースを構成糖とする5a,5a’-ジカルバ-β-D-グルコビオースの合成研究2013

    • Author(s)
      館田尚家、宮﨑達雄、鰺坂勝美
    • Organizer
      日本農芸化学会2013年度大会
    • Place of Presentation
      仙台
    • Year and Date
      20130324-20130327
  • [Presentation] o-キシリレンリンカーを介した分子内カップリングによるカルバマルトースの合成研究2012

    • Author(s)
      館田尚家、宮﨑達雄、鰺坂勝美
    • Organizer
      第31回日本糖質学会年会
    • Place of Presentation
      鹿児島市民文化ホール
    • Year and Date
      20120917-20
  • [Presentation] STUDY ON SYNTHESIS OF 5a-CARBA-β-D-MANNOPYRANOSE AND 5a-CARBA-β-D-N-ACETYL MANNOSAMINE FROM 2-DEOXY-SCYLLO-INOSOSE2012

    • Author(s)
      Naoya Tateda, Tatsuo Miyazaki, Kazuya Arisaka, Tatsuya Kano, Katsumi Ajisaka
    • Organizer
      26th International Carbohydrate Symposium
    • Place of Presentation
      Madrid, Spain
    • Year and Date
      20120722-27

URL: 

Published: 2014-07-24  

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