2013 Fiscal Year Annual Research Report
カルバ糖を基盤としたヒト型擬似糖鎖の系統的合成法の開発
Project/Area Number |
23750199
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
宮崎 達雄 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (70410222)
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Keywords | 2-デオキシ-シロ-イノソース / カルバ糖 / 擬似糖 / 擬似糖鎖 / ジカルバグルコビオース |
Research Abstract |
本課題の目的は、組換え大腸菌より数百グラムスケールにて生産できるようになった2-デオキシ-scyllo-イノソース(DOI)を原料に、カルバ糖を有する擬似糖鎖を構築することである。そのために、平成25年度は、DOIより数十グラムスケールで合成したカルバ-β-D-グルコースを鍵原料として、6種類のカルバ-β-D-グルコース供与体(Ms体、CMs体、Ts体、Bs体、Ns体、Tf体)と3種類のカルバ-β-D-グルコース受容体(1-OH体、4-OH体、6-OH体)を合成し、それらによる分子間カップリング反応を検討した。 はじめに、最も脱離能の高いTf体と反応性の高い1級ヒドロキシ基を有する6-OH体の組み合わせを試みた。種々検討した結果、NaHを塩基として用い、供与体と受容体を高濃度条件下(それぞれ680 mM, 1.7 M)にてカップリング反応することで、ジカルバ-β-D-イソマルトースを40%の収率にて合成することができた。本反応が低収率であった原因は、供与体がβ脱離してオレフィン体を生成することにあった。そのため、より脱離能の低い供与体を用い、高濃度条件下でのカップリング反応を検討することとした。しかしながら、全てのケースにおいて目的物を得ることはできなかった。Ms体、CMs体、Ts体を用いた場合の副生成物は、上記同様オレフィン体であった。またBs体およびNs体を用いた際の副生成物は、パラ位のブロモ基とニトロ基が脱離基として働き、そこに受容体が求核攻撃した生成物であった。これらの結果より、β脱離が起こるもののTf体が最も良い供与体であることが示唆された。最終的に、反応温度を0℃にすることで、収率を47%まで向上させることに成功した。 その後、最適化した反応条件を用いることで、ジカルバ-β-D-マルトース(3%)とジカルバ-α,β-D-トレハロース(37%)の合成にも成功した。
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