2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23750202
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鵜澤 尊規 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 研究員 (60554376)
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Keywords | 核酸 / ダイナミクス / ルテニウム錯体 / 両末端衝突速度 |
Research Abstract |
立体構造を形成して生命活動に重要な役割を果たしているRNAが存在するにもかかわらず、構造形成における最も基礎的な過程である、RNA分子内の2点間が衝突する運動の実験的な報告例はない。これは、詳細な実験のないまま、構造が似ているDNAとRNAは同じ運動性を持つと考えられていることに起因する。そこで一本鎖RNAと一本鎖DNAの分子内2点間の衝突速度の比較を試みた。 まず、DNAの両末端に発光分子であるルテニウム錯体(Ru錯体)と消光分子であるDABSYLを修飾したラベル化一本鎖DNA(ポリチミジンおよびポリアデニン)の発光寿命を測定した。Ru錯体の発光寿命から。両末端間の接触速度の鎖長依存性と温度依存性を算出した結果、比較的低温条件下ではポリアデニンのコンフォメーション変化速度が両末端衝突速度に大きく寄与するものの、高温条件下ではこの寄与が消失し、ポリチミジンと同じ速度で両端が衝突するということが明らかとなった。この結果はBiophys J誌に掲載予定である。 同様の測定をRNAについても行う際、Ru錯体とDABSYLのRNAへの直接修飾が困難なため、Ru錯体修飾DNAとDABSYL修飾DNAをRNAの両末端にそれぞれハイブリダイズさせてRu錯体の発光寿命を調べた。しかし、DABSYL修飾DNAの有無でRu錯体の発光寿命に明確な差がなかった。これはRu錯体もしくはDABSYLがDNA/RNAの二本鎖に対して親和性を持つことを示唆していた。この親和性を逆手にとり、進化分子工学を用いて100nMのKdでRu錯体に結合するRNA配列を探し出すことに成功した。更にDABSYLと同等の消光分子であるMVに対して親和性を持つと考えられるRNA配列の選出にも成功している。今後、これらの配列を両末端にもつRNAを使うことで、修飾なしにRNAの運動を調べられると考える。
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Research Products
(2 results)