2012 Fiscal Year Annual Research Report
高次有機ナノ構造制御を指向した次世代有機ELデバイス材料の創製と機能発現
Project/Area Number |
23750204
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
笹部 久宏 山形大学, 理工学研究科, 助教 (10570731)
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Keywords | 有機ELデバイス / リン光材料 / 電子輸送材料 / フェニルピリジン誘導体 / 三重項励起状態 / 分子間相互作用 / 水素結合 / 分子配向 |
Research Abstract |
本研究では高次有機ナノ構造制御を指向した次世代有機ELデバイス材料の創製と機能発現を目的としている。2年目である本年は、電子輸送材料の新たな普遍的設計指針を確立することに集中した。まず、ジベンゾフランを中心骨格とした材料を開発、一連の評価を行った結果、ピリジンの窒素位置が2=>3=>4となるにつれて、熱特性が向上するだけでなく、イオン化ポテンシャルが深くなり、電子注入性が増大した。一方、電子オンリーデバイスを作製し、評価したところ、従来材料と異なり、移動度は3位のピリジン誘導体が最も高い結果となった。単結晶X線結晶解析を行った結果、窒素配置によりパッキングが大きく異なることが明らかとなった。すなわち、4位のピリジンはジグザグ構造、3位ではジベンゾフラン部位のスタッキングが見られた。高性能な電子輸送材料を開発するために、これまで得られた単結晶構造を詳細に解析し、典型的な水素結合のパターンを抽出、新たな電子輸送材料 BcPyPB を設計・合成した。ターフェニルを中心骨格に、末端に 3-ピリジンと4-ピリジンを組み込んだ。3-ピリジンの分子間水素結合により横方向への配列を、4-ピリジンにより縦方向の配列を行い、グラフェン状の2次元シート構造の構築を狙った。基板垂直方向への配列は、π-π スタックを利用、3次元的な自己組織化を狙った。電子オンリー素子から電子移動度を算出したところ BcPyPB は既存材料の 約 10 倍の高移動度を示した。多入射角分光エリプソメトリーによる分子配向の検証の結果、BcPyPB は高い配向性を示した。以上の結果から、これまでの知見を元に設計した新たな電子輸送材料は、従来材料よりも高い電子輸送・移動特性を有することが明らかになった。今後のデバイス構造の最適化により、従来材料を凌駕する高性能デバイスの実現が期待される。
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Research Products
(28 results)