2011 Fiscal Year Research-status Report
有機半導体薄膜の能動的屈折率制御による有機調光ミラーの開発
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23750205
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
横山 大輔 山形大学, 理工学研究科, 助教 (00518821)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 非晶質 / 屈折率 / 光制御 / 分子配向 / 有機デバイス |
Research Abstract |
平成23年度は、予定していた研究実施計画に基づき、(a)In situ光学測定同時成膜による膜厚制御法の確立、(b)ミラーの作製、(c)赤外分光測定による配向性の評価、についての研究を進めてきた。ただし、(c)については当初、発光の角度分布測定による配向性の評価を予定していたが、より簡便かつ詳細な配向性の定量評価ができる新たな赤外分光評価法を見出したため、分析手法・購入装置を変更した。まず(a)については、所有している真空蒸着機に、in-situ測定系を取り付け、成膜中に膜厚を正確にリアルタイム計測できる実験系を構築した。有機半導体薄膜の成膜装置において新規な構成であり、これにより精密な膜厚制御を可能とした。(b)については少し予定を変更し、ミラーの作製に先立ち、まずは屈折率差をできる限り大きくするための材料探索を進めてきた。屈折率差の小さな材料でミラーを作製すると、反射率が小さい場合に、それが材料に起因する結果なのか素子構造の不完全さに起因する結果なのか切り分けが困難なためである。研究立案当初は屈折率差0.22程度の材料の組み合わせを想定していたが、探索の結果、屈折率差0.5を越える材料の組み合わせを見出すに至った。この差は従来考えられてきた有機非晶質膜の屈折率制御範囲を大きく上回るものであり、これにより、当初想定していた以上に効率的に光を制御できる可能性を見出すことができた。また、(c)については、前述のとおり、赤外分光測定により、簡便かつ詳細な配向性の定量評価法を見出した。これまでに用いてきた手法に比べいくつかの利点を有するため、その手法だけでも学術的成果とみなすことができるものである。以上、(a)~(c)にそれぞれについて、研究成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、研究はおおむね順調に進展している。特に、0.5以上の大きな屈折率差を有する材料系を見出せたこと、また、簡便かつ詳細な配向分析手法を見出せたことは、当初の想定以上の成果であり、本研究を通じて重要度の高い貴重な結果を得ることができたと考えている。改善すべき点は、十分な対外発表ができなかったことである。上記のような貴重な成果はできる限り早く学会・論文等の公式な場で詳細について発表すべきであり、この反省点を次年度に活かしていきたい。現在、近日中の学会発表・論文発表を予定し準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
屈折率差を向上させる材料系を見出せたため、今後もさらなる向上を目指した材料探索を行いつつ、特にミラー構造の構築とそのデバイス化に注力して検討を進めていく。当初の研究計画のとおり、デバイス化のみならずスイッチング特性評価まで達成できるよう、着実に研究を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後のさらなる材料探索を視野に入れ、次年度の試薬購入費として予算を334千円繰り越した。次年度の直接経費は1,134千円であり、下記のような使用を計画している。消耗品費:814千円(内訳は、試薬:574千円、基板:90千円、ガラス器具:80千円、ボート:70千円)旅費等:320千円(内訳は、国内旅費:60千円、外国旅費:200千円、謝金等:60千円)
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