2012 Fiscal Year Annual Research Report
有機半導体薄膜の能動的屈折率制御による有機調光ミラーの開発
Project/Area Number |
23750205
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
横山 大輔 山形大学, 理工学研究科, 助教 (00518821)
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Keywords | 有機半導体 / 非晶質 / 屈折率制御 / 光伝搬制御 / 分子配向 / 有機デバイス |
Research Abstract |
平成24年度は、前年度達成した研究成果を土台とし、引き続いて(1)大きな屈折率差を活かした積層型高反射率有機ブラッグミラーの構築、(2)電極付与による新規な有機フォトニックデバイスの創出、を行うべく研究を進めた。 (1)については、屈折率差の大きな高/低屈折率有機材料をin situ膜厚制御を行いつつ極めて高い精度で交互積層することにより、当初の目標(反射率>80%)を大幅に超える反射率98%の有機ミラーを実現した。また、大きな屈折率差0.58を有する材料の組み合わせを用いたため、反射帯域幅も100nmを超えた。 (2)については、上記有機ミラーを透明な電極で挟んだ構造のデバイスを作製し、電圧印加下での光応答を調べることで、半導体としての機能を有していることを実証した。青色光に対して光電流信号を生じ、緑色光を反射し、赤色光を透過する、光と電子の同時制御が可能な新規有機半導体フォトニックデバイスを創出した。 以下、研究期間全体の成果を総括する。真空蒸着によって作製される有機半導体薄膜において、分子配向および分子分極率に注目して精密な成膜制御・分析を行い、有機材料として極めて大きな屈折率差0.58を実現した。また、その屈折率差の大きな膜を用いて、反射率98%、反射帯域幅100nm以上の有機ブラッグミラーを作製することに成功し、有機薄膜による効果的な光伝搬制御を示した。さらに、そのミラーの光導電性により、光と電子を同時制御できる半導体としての機能を実証した。 本研究成果については、既に論文発表・学会発表も行っており、特許も出願済みである。有機半導体デバイスに新たな光学設計自由度を与える従来にない着想の基礎研究として、さらに研究成果をデバイス応用へと展開させることが期待されており、平成25年度に採択された若手研究(A)において発展的に研究を深めていく予定である。
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