2012 Fiscal Year Research-status Report
光配向性液晶ナノ構造体の作製と発光デバイスへの応用
Project/Area Number |
23750213
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木下 基 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (40361761)
|
Keywords | 光配向 / 液晶 |
Research Abstract |
本研究では,光配向性色素を用いて液晶有機半導体の配向を精密に制御した構造体を調製し,光学物性や光配向挙動を明らかにするとともに,発光素子へ応用することを目的とした。本研究を推進するにあたり,光配向性に優れる色素の探索は最重要課題である。これまでに,光配向性色素としてアントラキノンやオリゴチオフェン誘導体が検討されているだけで,光配向性色素に関する分子設計指針が明らかにされておらず,ほとんど探索が行われていなかった。そこで,新しいアプローチとして,光に対して高い安定性を示すレーザー色素を用いて光配向特性について検討を行ったところ,2011度にクマリン6が液晶の光配向を安定に誘起できる色素であることを見いだした。そこで,2012年度はクマリン骨格に焦点を当て,光配向性について詳細に検討した。クマリン6,クマリン7,クマリン30,クマリン153,クマリン337,クマリン510,クマリン525,クマリン545を0.1mol%含む液晶系を垂直配向させたセルに封入しサンプルとした。サンプルにアルゴンイオンレーザーからの488nmの波長の光を入射して,スクリーン上に形成される回折像から誘起される液晶の配向変化挙動を評価した。クマリン6,クマリン7,クマリン30,クマリン525およびクマリン545を用いると液晶の配向変化に基づく自己位相変調効果により干渉縞が形成されることがわかった。干渉縞形成は,ある閾値以上の光強度が必要なこと,ならびにプローブ光の偏波面が,アルゴンイオンレーザーの入射偏波面と平行方向のみに観測されることから,これまでの色素と同様な光配向特性を示すことがわかった。光配向性におよぼす色素の液晶中における配向状態を知る目的で,二色性を調べたところ,光配向性を示すクマリン誘導体が比較的高い二色性を示すことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,光配向できる色素を開発することが,その後のデバイス応用への鍵をにぎるため,色素探索を一貫して行ってきた。2011度にクマリン6が液晶の光配向を安定に誘起できる色素であることを見いだしたことから,2012年度は,クマリン骨格に焦点を当て,光配向性について詳細に検討した。 入手可能な色素として,クマリン6,クマリン7,クマリン30,クマリン153,クマリン337,クマリン510,クマリン525,クマリン545を用いた液晶サンプルにアルゴンイオンレーザーからの488nmの波長の光を入射して,スクリーン上に形成される回折像から誘起される液晶の配向変化挙動を評価した。クマリン153,クマリン337およびクマリン510は,光照射により綺麗な回折像が観られなかったが,クマリン6,クマリン7,クマリン30,クマリン525およびクマリン545を用いると液晶の配向変化に基づく自己位相変調効果により干渉縞が形成されることがわかった。干渉縞形成は,ある閾値以上の光強度が必要なこと,ならびにプローブ光の偏波面が,アルゴンイオンレーザーの入射偏波面と平行方向のみに観測されることから,従来の光配向性色素と同様な光応答性を示すことがわかった。 クマリン6,クマリン7,クマリン525およびクマリン545は同程度の光強度で光配向するが,クマリン30を用いた場合には,かなり高い光強度において照射しないと液晶の配向変化は誘起できないことがわかった。分子内でのねじれ構造が光配向に影響を及ぼしているためと考えている。 色々なクマリン誘導体を用いることにより,広い波長領域にわたり,液晶を光配向できる系を調製可能なことがわかった。光配向性と色素の構造との関連性に繋がる結果と期待できることから,今後の光配向性色素の分子設計指針のひとつに繋がる成果と評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2011年度に蛍光性色素が液晶の光配向を安定に誘起できることを見いだした成果を2012年の応用物理学会,フォトポリマーコンファレンス,液晶討論会および薄膜材料デバイス研究会にて発表を行ったところ,大学,企業の研究者やコンサルタントなど多く方々から関心を集めるとともに有用な助言をいただいた。これを契機に研究の独創性ならびに特許性の確保に向けて,光配向性液晶材料開発に関する基礎的な研究を優先したために,デバイス応用への展開が遅れ,デバイス作製と評価のために予定していた化合物やガラス器具,電極基板,光学素子などの消耗品において,未使用額が発生した。このため,2013年度に未使用額を,これらの評価を行うために使用することとして,さらに,得られる成果を国内・国際学会やシンポジウム,論文発表や特許出願など精力的に進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
入手可能な色素や液晶に加えてデバイス評価などの光学部品への配分を増額する。研究の進展を加速させるために,情報の収集,発信,交換のため積極的に,展示会や,学会に参加し,国内では日本化学会・高分子学会・液晶学会・応用物理学会において精力的な調査・発表を予定している。フォトポリマーや国際学会SPIEへの参加も予定している。
|
Research Products
(18 results)
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Photoresponsive Behavior of Emission Dyes-Doped LCs
Author(s)
M. Kinoshita
Organizer
The 13th RIES-Hokudai International Symposium "律"[ritsu] joined with The 1st International Symposium of Nano-Macro Materials, Devices, and System Research Alliance Project, Sapporo
Place of Presentation
Chateraise Gateaux Kingdom Sapporo
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-