2013 Fiscal Year Annual Research Report
光配向性液晶ナノ構造体の作製と発光デバイスへの応用
Project/Area Number |
23750213
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木下 基 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (40361761)
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Keywords | 光配向 / 液晶 / 色素 |
Research Abstract |
本研究では,発光素子へ応用可能な新しい光配向システムの構築を目的として,色素を用いた配向制御法の構築を行ってきた。本研究を推進するにあたり,光配向性に優れる色素の探索は最重要課題である。これまでに,光配向性色素としてアントラキノンやオリゴチオフェン誘導体が検討されているだけで,光配向性色素に関する分子設計指針が明らかにされておらず,ほとんど探索が行われていなかった。そこで,新しいアプローチとして,光に対して高い安定性を示すレーザー色素を用いて光配向特性について検討を行ったところ,昨年度までに,液晶中で大きな二色性を示すクマリン誘導体が有望であることを見いだした。 今年度,色素の構造が配向変化におよぼす効果について,分子計算からのアプローチを行った。Spartan 06により,色素分子の基底状態における, HOMOおよびLUMO電子雲の変化を計算し,各種色素と比較検討したところ,LUMOの電子雲が分子の中央付近にある色素が液晶分子を光配向しやすい傾向があることを見いだした。 また,色素探索過程の中で,ジュロリジル骨格を含むクマリン525やクマリン545のような色素分子において,光配向後に配向緩和が起きやすい現象が見られることがわかった。クマリン6とクマリン545は,比較的類似した構造をもち,分子鎖長や液晶中における二色性,HOMOおよびLUMOの電子雲など,ほぼ同様な特徴を示し,大きな違いはみられない。それゆえ,ジュロリジル基を含むクマリン545は,ジエチルアミノ基を含むクマリン6と比較して,分子の平面性が高いことや窒素部位の孤立電子の影響により,色素の励起後の分子間相互作用が変化するため,配向緩和に差が生じやすくなるのではと考えている。
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