2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23750214
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平松 秀典 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (80598136)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / 鉄系超伝導体 / 薄膜 / 傾角粒界接合 / 臨界電流 / 薄膜線材 |
Research Abstract |
本研究課題「鉄系超伝導薄膜を用いた薄膜線材設計指針の提案」の目的は、鉄系超伝導体Co添加BaFe2As2の高品質なエピタキシャル薄膜を作製し、その粒界で臨界電流が受ける影響を明らかにすることによって、線材応用に必要な設計指針を提案することである。 そこで、これまでに最適化してきたパルスレーザー堆積法を用いることによって、MgOと(La, Sr) (Al, Ta) O3のバイクリスタル基板上に、高品質Co添加BaFe2As2薄膜を作製した。そして粒界特性を明らかにするため、傾角粒界を介する部分にブリッジ構造(傾角粒界接合)を作製し、X線回折法と微細構造観察からその傾角粒界接合の品質を評価し、電流-電圧特性からその傾角粒界における臨界電流密度を調査した。 その結果、形成された接合はバイクリスタル基板の傾角の大きさと同じ角度で正確に制御することができており、また化学組成は均質で、異種化合物の粒界への析出は観察されなかった。そして、電流-電圧特性を調べた結果、9度の傾角まではフラックスフロー型であったのに対し、それ以上から弱結合状態に起因するRSJ型への転移が観察された。その弱結合への転移である9度の傾角まで、臨界電流密度は1 MA/cm2以上の高い値を保持した。この臨界角9度という値は、銅酸化物の代表例であるYBCOの臨界角(3~5度)より大きい。以上の結果は、鉄系超伝導体は銅酸化物よりも、高磁場発生マグネット用の薄膜線材に応用する際には、かなり低いスペックである9度以下の配向度をもつ金属テープ基板でよいことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の一つである傾角粒界接合の臨界電流特性の調査が終了し、強結合から弱結合への転移が起こる境目の傾角を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
臨界電流密度の臨界傾角のデータをもとに、既存の銅系線材用配向基板が、新材料である鉄系超伝導体の薄膜線材作製にも適用可能かどうかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、PLDターゲット合成に必要な原料試薬と薄膜成長基板等の消耗品に利用予定である。旅費に関しては、タイミングに応じて申し込みが可能な国内もしくは海外での会議に出席を予定している。
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