2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロガスセンサのin situ XAFSによる性能劣化メカニズムの解明
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23750225
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西堀 麻衣子 九州大学, シンクロトロン光利用研究センター, 准教授 (20462848)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 化学センサ / 触媒 / 被毒 / in situ XAFS |
Research Abstract |
表面化学反応を利用するガスセンサの信頼性は、機能性材料の耐久性に大きく依存するため、その劣化メカニズムを理解することが重要である。H23年度はマイクロガスセンサのin situ XAFS分析手法の確立に向け、ガスセンサに特化した蛍光XAFS用反応セルを新たに作製するとともに、水素およびメタンを検知するガスセンサに着目し、それぞれのガスを燃焼するPt/Al2O3、Pd/Al2O3触媒について、有機シリコン化合物被毒による性能劣化のメカニズムを検討した。Pd/Al2O3触媒に対するヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)曝露前後でのPd状態変化について放射光X線を用いたin situ XAFSにより検証した結果、酸化雰囲気下においてPdは300ºC以上で酸化されるが、HMDSOに曝露することで酸化が阻害されることが分かった。また、HMDSOに曝露した触媒に対し高温下で水素還元処理を行うと、酸化雰囲気下において再びPdが酸化されることが分かった。このことは、本触媒はHMDSO曝露によって触媒表面をHMDSOに由来する物質が被覆するためガスとの接触が阻害されるが、水素還元処理後は触媒表面を被覆していた物質が除去され、再び触媒とガスが接触することを示している。これまでの報告では、HMDSO曝露による触媒性能低下は、SiO2が触媒表面を物理的に覆うことによりガスとの接触が阻害されることに起因するとされている。今回の実験では、HMDSOに由来する有機物が水素還元処理により水素と反応し、触媒表面から脱離することで再びPdが酸化した様子を観察したと考えられる。このことは、今回の条件においては、HMDSO被毒は触媒へのSiO2の物理被覆ではなく有機物の吸着による失活が原因である可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属の変更に伴い、被毒原因物質の特定を行う蛍光分析をFTIRによる気相ガス分析に変更した。放射光分析に関しては、マシンタイムの獲得が順調にできた。上記のことから、本研究は概ね予定通りに進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度で行ったPt/Al2O3、Pd/Al2O3触媒のin situ XAFS分析を、マイクロ熱電式ガスセンサへ展開する。マイクロ熱電式ガスセンサのin situ XAFS分析では、H23年度で得た知見から、被毒物質を含むガス雰囲気下でセンサ応答信号およびXAFSスペクトルを同時に収集し相関を検討する。なお、これらのデータは被毒メカニズムの動的な解明を行うため、被毒物質を含むガスへの流通時間に応じて収集する。さらに、水素雰囲気下でのHMDSO曝露触媒の温度に伴う触媒微細構造変化と発生ガス分析を行い、有機シリコン被毒のメカニズムを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属先の変更に伴い、研究費の執行ができない期間が生じたため、H23年度からの繰越額が発生した。よって、H24年度は、H23年度に作製したガスセンサ用反応セルを高度化し、熱電式マイクロガスセンサのin situ XAFS分析でも使用できるものに改良する計画である。また、そのための消耗品費、および触媒材料費を計上した。旅費はSPring-8(兵庫県)および九州シンクロトロン(佐賀県)での放射光実験に係る費用を計上した。また、研究成果を国際会議で発表するための費用を計上した。その他経費は放射光実験で必要な消耗品負担金および使用料等を計上した。
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Research Products
(2 results)