2011 Fiscal Year Research-status Report
溶液中及び固体状態で近赤外領域に強い蛍光を示す新規色素の開発
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23750228
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
窪田 裕大 岐阜大学, 工学部, 助教 (50456539)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 蛍光 / 固体蛍光 / 近赤外蛍光材料 / ホウ素錯体 / 多核ホウ素錯体 / ピリミジン / ピラジン |
Research Abstract |
新規な近赤外蛍光材料の開発を目指して、ピリミジンの単核および二核錯体の合成を行った。 無置換、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基が導入されたピリミジン単核ホウ素錯体1-3はジクロロメタン中で以下の最大蛍光波長および量子収率を示した(1:428nm, 0.01, 2: 425 nm, 0.01, 3: 526 nm, 0.76)。また、1-3は固体状態でも蛍光を示した。興味深いことに、1(525 nm, 0.13)および2(488 nm, 0.15)は通常の蛍光色素とは異なり、溶液中よりも固体状態において高い蛍光量子収率を示した。またジメチルアミノ基が置換されたピリミジン単核ホウ3(629 nm, 0.20)は赤色の強い蛍光を示した。電子供与基および電子求引基の導入は固体状態での最大蛍光波長にそれそれ短波長化および長波長化の影響を与えることが明らかになった。 無置換およびジメチルアミノ基とトリフルオロメチル基が導入されたPush-Pull型のピリミジン二核ホウ素錯体4および5を合成した。4の生成は単結晶X線構造解析により明らかにした。4および5はジクロロメタン中で以下の最大蛍光波長および量子収率を示した(4:490 nm, 0.55, 5: 655 nm, 0.02)。4および5は固体状態においても蛍光を示した。4は赤色の蛍光を示した(641 nm, 0.07)。また、Push-Pull型の二核錯体5は近赤外領域に固体蛍光を示した(716 nm, 0.01)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規な蛍光色素の合成に成功した。これらの色素は溶液中で最大蛍光波長425nmから655nm、量子収率0.01から0.76を示した。また、固体状態においても蛍光を示し、その最大蛍光波長は488nmから716nm、量子収率0.01から0.20であった。量子収率は低いものの当初目標にしていた固体状態で近赤外状態に蛍光を示す新規色素を初年度中に合成できた。量子収率の向上については今年度検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は以下の二点について検討する。1.最大蛍光波長の長波長化2.固体状態での蛍光量子収率の向上1については、DFT計算により、長波長化が期待されるピラジンの検討および置換基の検討について行う。2については、ホウ素原子上に嵩高い置換基を導入することで消光の原因であるπ-π相互作用の抑制について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に以下のものに使用する予定である。・蛍光色素を合成するための試薬および溶媒・ガラス器具・学会発表のための旅費
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