2012 Fiscal Year Annual Research Report
層状複水酸化物ナノスフィアの合成と新規なドラッグデリバリー材料への応用
Project/Area Number |
23750233
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
會澤 純雄 岩手大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40333752)
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Keywords | 層状複水酸化物 / ドラッグデリバリー材料 / 中空ナノスフィア / 抗がん剤 / 細胞増殖抑制効果 / カーボンナノスフィア |
Research Abstract |
層状複水酸化物(LDH)は,陰イオン交換能ならびに高い生体親和性を持つことから,ドラッグデリバリー材料への応用が期待されている.しかし,その形状は一般に六角板状粒子が凝集し,数μm以上の二次粒子となるため粒子サイズや形状の制御は難しい.また,細胞内へのLDHの輸送経路は粒子サイズや形状に影響されることが明らかとなり,これらを制御することにより細胞内への薬剤の輸送効率の向上が期待される.本研究では,LDHの粒子サイズおよび形状を制御した中空LDHナノスフィア(LDH-NS)の合成を検討した.また,LDH-NSに抗がん剤を取り込ませた抗がん剤/LDH-NSの合成も試み,その細胞増殖抑制効果についても調べた. 共沈法により合成したMg-Al系LDHとCNSを混合し,CNS/LDHを合成した.CNS/LDHを500℃,3 h焼成することでCNSを除去し,LDH-NS酸化物を得た.これを抗がん剤(5-FU)水溶液に加え,24 h振とうすることにより5-FU/LDH-NSを合成した.各生成物は,XRD,FT-IR,SEMなどにより評価した.5-FU/LDH-NSの細胞増殖抑制効果は,HeLa細胞を用いてWST-8法により評価した. 5-FU/LDH-NSのXRDおよびFT-IRの測定結果から,5-FUはLDHの層間へ基本層に対し平行に配位して取り込まれることが明らかとなった.SEM写真から,5-FU/LDH-NSの凝集体も観察されたが中空構造を保持しており,その表面にはサンゴ状の凹凸が見られた.つぎに,HeLa細胞に対する5-FU/LDH-NSの細胞増殖抑制効果を調べた結果,半数致死濃度を比較すると,5-FU単独に比べ5-FU/LDH-NSの増殖抑制効果は高く,約3倍に向上することを明らかにした.以上の結果,LDH-NSはドラッグデリバリー材料としての性能をもっていることを見出した.
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