2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ引き下げ法による形状制御ランガサイト型圧電結晶育成技術の開発
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23750234
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横田 有為 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60517671)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
μ-PD法を用いた形状制御単結晶育成用の坩堝の設計・開発に関しては、ランガサイト型結晶と最適な濡れ角を有するPt合金を用いた坩堝を設計・開発した。その結果、円柱状・板状、チューブ状のランガサイト型結晶が育成可能なPt合金坩堝の開発に成功した。その開発した形状制御単結晶育成用Pt合金坩堝を用いてμ-PD法を用いた円柱状ランガサイト型圧電結晶の作製を行った。その結果、ランガサイト型圧電材料であるLTG, CNGS, CTGS, SNGS, STGSの形状制御単結晶育成に成功し、ランガサイト型圧電結晶の円柱状形状制御技術を確立した。作製した形状制御ランガサイト型圧電結晶が圧電特性評価に足る高品質な単結晶かどうかを確認するため、所属研究室において保有する装置を用いて結晶性の評価を行った。粉末X線回折(XRD)によって得られた単結晶がランガサイト相の単相であることを確認し、X線ロッキングカーブによって得られた単結晶がCz法で育成した単結晶に匹敵する結晶を有していることが明らかとなった。偏光顕微鏡によるドメイン観察およびSEM/EDSやEPMAによる化学組成分析の結果、結晶周囲に不純物相の確認ができたが、出発組成の最適化により不純物を含まない形状制御単結晶の作製に成功した。圧電特性評価においては、所属研究室で保有するインピーダンスアナライザ等の測定機器を用いて、Cz法で育成した単結晶と同等の特性を示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
形状制御用坩堝を設計・開発したが、その形状制御用坩堝の構造が形状制御結晶育成に非常に適したものであったため、当初の予想に比べて、大きな困難もなく形状制御単結晶育成を行うことができた。そのため、その開発した形状制御用坩堝を用いて円柱状のランガサイト型圧電結晶の形状制御結晶育成に比較的容易に成功したため、その後の形状制御結晶の結晶評価、圧電特性評価を迅速に行うことができた。その結果、当初の予定では平成24,25年度に行うことになっていた板状形状制御結晶の育成に取り掛かることができ、さらに出発組成の最適化により不純物を含まない形状制御単結晶の作製にも成功することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
μ-PD法により上記ランガサイト型圧電結晶物質の形状制御単結晶育成技術を確立する。育成する単結晶の形状に関しては、圧電センサのデバイス形状である板状単結晶の育成を行う。作製した形状制御ランガサイト型圧電結晶は圧電特性評価に足る高品質な単結晶かどうかを確認するため、所属研究室において保有する装置を用いて結晶性の評価を行う。圧電特性評価においては、所属研究室で保有するインピーダンスアナライザ等の測定機器を用いて、室温から600℃までの圧電定数、電気機械結合定数、周波数温度特性、誘電率、機械損失係数、電気抵抗率の測定を行う。また、育成雰囲気を制御してランガサイト型圧電単結晶を作製し、育成雰囲気が電気抵抗率に及ぼす影響を系統的に調べる。さらに、Gaイオンの揮発を抑制するために、周囲の元素との化学結合がより強い不純物元素の置換を行う。具体的にはGaサイトへの3価イオン(Al3+, In3+等)や高価数イオン遷移金属(Mo, Co等)の置換を行うことでGaサイトの周囲の酸素イオンとの化学結合を強くすることを試みる。結晶育成後のランガサイト型圧電結晶に様々な雰囲気のポストアニールを施すことで、ポストアニール処理が電気抵抗率特性に及ぼす効果を調べ、高温の電気抵抗率特性改善を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度と同様、次年度もμ-PD法を用いた形状制御ランガサイト型圧電結晶の形状制御結晶育成に必要な消耗品および、その圧電結晶の結晶性および圧電特性評価に必要な消耗品の購入を行う。さらに、室温から600℃までの圧電定数、電気機械結合定数、周波数温度特性、誘電率、機械損失係数、電気抵抗率の測定を行うための機器を購入する予定である。また、本研究開発で得られた結果は、ランガサイト型圧電結晶の実用化に大きくつながるものであったことから、本製品の海外販路開拓および、海外の研究開発動向、市場動向の調査のために世界的に有名な圧電業界の国際会議であるISAF等に出席するとともに、本研究開発内容の発信を行う。さらに、ロシアの圧電結晶製造メーカーであるFormos社を訪問することでμ-PD装置の販路開拓および市場動向を調査する。
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