2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ引き下げ法による形状制御ランガサイト型圧電結晶育成技術の開発
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23750234
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横田 有為 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60517671)
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Keywords | ランガサイト / 圧電結晶 |
Research Abstract |
エンジン部の直接センシングを可能にすることで自動車の燃焼効率を改善することが可能な燃焼圧センサには、希土類元素のランタン(La)及び希少元素のガリウム(Ga)、タンタル(Ta)を約90%含有したランガサイト型圧電結晶が用いられており、それらが燃焼圧センサの製造コストを増大させている。本事業では、希土類フリーのランガサイト型圧電結晶で既存の希土類含有圧電結晶を代替することによりランタン、ガリウム、タンタルの使用量の低減を試みた。 結晶育成にはランガサイト型圧電材料の1つであるCa3NbGa3Si2O14(CNGS)を用いた。純度4N以上のCaCO3, Nb2O5, Ga2O3, SiO2の出発原料を用いてCa3Nb(Ga1-xAlx)3Si2O14 x = 0.2, 0.3, 0.4, 0.6, 0.8, 1の仕込組成で秤量・混合した後、結晶育成を行った。 結晶育成の結果、x = 0.6までは透明な単結晶の育成に成功した。一方、x = 0.8以降は白濁した結晶しか得られなかった。育成した結晶の断面をSEMで観察した結果、x = 0.6までは、内部はほぼ単相になっており、外周部に一部不純物が見られる程度であった。一方、x = 0.8, 1に関しては、断面全体で不純物が多く発生していることが分かった。各試料の粉末XRD測定からは、x = 0.6まではランガサイト型構造のほぼ単相を示しており、Al置換量が増加するに従って格子定数が系統的に減少していることが分かった。これは、イオン半径の小さいAlがイオン半径の大きいGaを置換していることに起因すると考えられる。 Al置換したCNGS結晶の圧電特性を調べたところ、x = 0.6においてきれいな共振・反共振曲線が得られ、誘電率・圧電定数ともに良好な圧電特性を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23度は当初の目的であった形状制御単結晶育成技術の開発を行い、全てのランガサイト型圧電結晶において様々な形状の形状制御単結晶育成に成功した。さらに、平成24年度は、希少金属であるGaサイトにAl置換を行うことによって、50%ものGaを安価なAlに置換することに成功した。これは、希少元素であるGaの含有量を大幅に低減させることが可能な技術であり、圧電素子の低コスト化に大きく寄与することが期待される。育成したAl置換CNGS結晶の特性評価では、不純物もほぼ見られず良質な単結晶が得られたことが明らかとなった。さらに、Al置換を行った試料においても圧電定数はほぼ変わらないことが分かった。 さらに、育成雰囲気が結晶に及ぼす影響や、育成後の結晶に対するポストアニール効果に関しても明らかになってきており、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、育成雰囲気が結晶に及ぼす影響や、育成後の結晶に対するポストアニール効果に関してもより詳細に調べることで、最適な結晶育成条件・ポストアニール条件を明らかにする。さらに、その明らかにした条件を利用して、圧電特性の改善を行う。 進捗状況は、当初の計画以上に進展しており、このままの体制で研究を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでに、非常に多くの研究成果を挙げることに成功しているため、その成果を圧電材料や結晶材料等の国内会議、国際会議で発表するとともに、各国研究機関代表者とともにディスカッションすることで、より本技術のアピールおよび改善を行う。 さらに、育成雰囲気が結晶に及ぼす影響や、育成後の結晶に対するポストアニール効果に関する研究に必要な消耗品(原料・高純度ガス・断熱材等)の購入を行う。
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