2012 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起親水化現象の解明に繋がる新たな提案-光照射で生じる表面マクロ分極場の作用-
Project/Area Number |
23750238
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
勝又 健一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (70550242)
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Keywords | 光誘起親水性 / 光触媒 / 表面分極 |
Research Abstract |
本研究では、光触媒機能の一つである光誘起親水化現象に関して、光照射によって親水化する材料とその表面化学組成の関係性について、理想的な原子配列面を持つ単結晶または多結晶薄膜を用いて調査を行った。 紫外光照射によって、ルチル型酸化チタンでは、(110)が(001)と比較して早く親水化し、既報と一致する結果が得られた。一方、チタン酸ストロンチウムでは、(110)<(111)<(100)の順で早く親水化した。紫外光の照射による親水化と真空暗所での静置による疎水化を繰り返したところ、結晶面方位による違いが見られなくなった。これは、紫外光の照射により表面に何らかの不可逆的な変化が生じており、この変化が結晶面方位による違いを引き起こしていると考えられる。チタン酸ストロンチウム表面原子の配列から不安定な酸素原子(5配位酸素)が表面に露出している面ほど早く親水化することが分かった。チタン酸ストロンチウムの多結晶膜は光照射によって高度に親水化しないことが分かっており、多結晶膜表面では親水化が早い(100)と(111)がほとんど露出せず、遅い(110)が最も露出しているためであることを明らかにした。次に、ニオブ酸リチウムでは、Z<X<<Yカット面の順で親水化し、特にYカット面はルチル型酸化チタンやチタン酸ストロンチウムのどの結晶面と比較しても早い親水化速度を示すことを明らかにした。 ニオブ酸ナトリウム多結晶薄膜は、紫外光照射によって正の方向に表面電位が変化することが分かり、表面に物理吸着する水分子の配向度(水分子が水素原子側を外側に向けて配向)に起因することが示唆された。また、表面電位のヒストグラム変化から、結晶面による親水化速度の違いを推察でき、光照射による結晶表面電位の変化と親水化との間には相関関係があることが分かった。
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