2012 Fiscal Year Annual Research Report
界面挙動の動的観察に基づく燃料電池用イオン液体の設計
Project/Area Number |
23750243
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
棟方 裕一 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (00457821)
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Keywords | 燃料電池 / イオン液体 / 界面挙動 / その場赤外分光測定 |
Research Abstract |
燃料電池は、化学エネルギーを直接電気エネルギーへ変換することが可能であり、内燃機関を主体とした現在のエネルギー変換に比べてエネルギー変換効率が格段に高く、大気汚染の原因となる窒素酸化物や硫黄酸化物の排出もないため、地球環境に調和したエネルギー変換デバイスとして注目されている。しかし、現在の燃料電池システムは水が介在しなければ作動せず、加湿設備を必要とするため、どうしても大型になるという問題を抱えている。また、水の蒸発が起こらない100 °C未満の温度で運転しなければならないという制約があり、燃料電池触媒の被毒や触媒反応の過電圧が大きい原因となっている。このような背景から100 °C以上の中温無加湿環境下で作動可能な燃料電池への関心が高まり、その実現へ向けた取り組みが進められている。常温溶融塩はイオン液体とよばれ、高いイオン伝導性、熱的安定性、不揮発性を有することから、燃料電池の中温無加湿作動を実現できる電解質材料として期待されているが、水系電解質と比較して燃料電池の反応が進行し難い点が問題となっている。本研究の目的は、イオン液体中の燃料電池反応を解明し、燃料電池の高性能化へ向けてどのようにイオン液体あるいは触媒を設計しなければならないのかを解明することである。本年度は、前年度に開発した中温域対応の対流セルおよびイオン液体/電極触媒界面のその場測定システムをさらに改良し、中温域におけるイオン液体中の酸素還元反応パラメータを導出した。各パラメータの温度依存性から、中温域の酸素還元活性を支配する要因を明確にすると共に、本検討を白金以外の触媒材料についても展開した。これらの検討を通じて、燃料電池用のプロトン伝導性イオン液体に関する設計指針を明らかにできた。また、アニオン伝導が主となるイオン液体の新しい展開を見出すことができた。
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