2011 Fiscal Year Research-status Report
無機-有機ハイブリッド層状結晶による次世代型リチウムイオン伝導体の創製
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23750246
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 建 東海大学, 理学部, 講師 (50376935)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ハイブリッド材料 / 層状結晶 / ポリ酸 / 界面活性剤 / 伝導性 |
Research Abstract |
pHを制御したタングステン、モリブデン、バナジウムのオキソ酸水溶液中へ界面活性剤溶液を加え、ハイブリッド層状結晶を合成した。生じた沈殿を再結晶すること、および沈殿をろ別した後の溶液を適切な条件で静置することにより、種々の単結晶を得ることに成功した。X線構造解析の結果から、いずれも新規なポリ酸-界面活性剤ハイブリッド層状結晶であることが明らかとなった。層状結晶中では、ポリ酸アニオンと界面活性剤カチオンが交互に積層した層状構造を有していた。 合成に用いる界面活性剤の親水部の分子構造や炭素鎖の長さを変化させることにより、ポリ酸アニオンの分子構造や組成を精密に制御してハイブリッド層状結晶を合成できる条件を見出した。再結晶時にナトリウムやセシウムなどのアルカリ金属イオンを共存させると、これらの金属イオンを層間に取り込んだハイブリッド層状結晶を合成できることも見出した。これは本研究の目標であるリチウムイオンを層間に導入させたハイブリッド層状結晶の合成に向けて、基盤的な知見になると考えられる。 また、これまでに合成してきたポリタングステン酸やポリモリブデン酸のハイブリッド層状結晶の電気伝導性を検討したところ、150~250℃で10-6~10-5 S cm-1の電気伝導性を示すことを見出した。ポリ酸を電気的に還元することにより伝導性が増大する傾向もみられた。これらの結果は、リチウムイオン伝導性を発現させる際に用いるポリ酸や界面活性剤を選択するうえで重要である。一方、ポリバナジン酸のハイブリッド層状結晶については、プロトンを取り込んだハイブリッド層状結晶が合成できることを見出し、プロトン伝導性の発現が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状で目的とするリチウムイオン含有型ハイブリッド層状結晶の合成には成功していないが、研究を遂行する過程で、ナトリウムやセシウムなどのアルカリ金属イオンやプロトンを層間に導入したハイブリッド層状結晶を合成できることを見出した。この知見はハイブリッド層状結晶中にリチウムイオンを層間に導入させる際に有用であり、リチウムイオン伝導性材料への展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果を基に、リチウムイオン含有型ハイブリッド層状結晶を合成し、単結晶もしくは粉末試料を用いてX線回折装置による構造解析を行っていく。平行してイオン伝導度の検討をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成したハイブリッド層状結晶は多結晶粉末でしか得られない場合があるが、現状では粉末構造解析用の専用ソフトウェアを保有していない。構造解析を効率的に行うため、粉末X線解析ソフトウェアを購入する予定である。
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Research Products
(8 results)