2011 Fiscal Year Research-status Report
新規ポリマーナノスフィアを用いた蛍光発光性・積層粒子層状組織体の形成
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23750251
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤森 厚裕 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00361270)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ポリマーナノスフィア積層粒子層状組織体 / 超薄分子組織膜 / 芳香族ポリアミド / 単粒子膜 / N-ビニルカルバゾール / 三元櫛型共重合体 / 蛍光発光能 / 構造色 |
Research Abstract |
当該研究の実績として,研究者は,査読付き原著論文18件,解説記事4件,著書2件,特許出願1件,学会発表31件(うち招待講演5件)と近年にないアクティビティーを示し,「新規ポリマーナノスフィアを用いた蛍光発光性・積層粒子層状組織体の形成」研究が着実に進行したことを示している.具体的には,ナノ粒子を『重ねて』化学する,という命題から,無毒・非退色性の構造色発色体創製に向けて,高さ情報が極めて均質な"ポリマーナノスフィア"を積層させ,蛍光発光能をも有する,コロイド結晶・フォトニック結晶代替の光機能性粒子積層膜の創製にほぼ至った.第一に含長鎖アルキル芳香族ポリアミドナノ微粒子を界面分子膜, 並びにボトムアップ法を融合させた"超薄分子組織化膜"の手法を用いて均一粒子径のもとに形成させ,二次元面内における高度集積化の後,積層し,高さ方向にも2.5~3.0 nm周期で"超"規則配列を構築させた「積層粒子層状構造体」を創製した.更には,新規に合成したN-ビニルカルバゾールと炭化水素鎖,並びにフッ化炭素鎖を含む三元櫛型共重合体を用いて,"ポリマーナノスフィア"を形成・積層させ,やはり蛍光発光能をも有する,コロイド結晶・フォトニック結晶代替の光機能性粒子積層膜の新規提案を行うに至った.この三元櫛型共重合体は,共重合比や表面圧制御によって,単分子膜と単粒子膜の形成制御が可能であり,単分子膜状態で積層すると,側鎖が非晶層を形成する「ポリマーナノシート」候補物となった.即ち,同一組成で,異なる名の層状組織体の形成が達成できる新規化合物である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
査読付き原著論文18件,解説記事4件,著書2件,特許出願1件,学会発表31件(うち招待講演5件)と近年にないアクティビティーを示し,「ポリマーナノスフィア積層粒子層状組織体」という新たな学問シーズの提案を順調に行っているため.更なる産業展開が見られれば,「当初の計画以上の進展」といえるかも知れないが,現状では,「概ね順調」と表現することが相応しいと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
当該補助金の領域会議を通じて共同研究の輪が広がり,当研究室のみでは解決できなかった合成技術や解析技術を獲得した.こうした技術を駆使し,粒子化傾向を原子間力顕微鏡観察により評価し,種々の条件でLB法による粒子積層を行って,層状周期の形成秩序を評価する.Out-of plane X線回折の高次反射や回折線半値幅を目安とし,高秩序の組織体が形成されている場合は,可視光領域まで膜厚ステップを切りつつ,階段状積層して,構造色が制御できるほど周期構造が長距離秩序を有するのかを検討する.積層膜の表面形態を顕微鏡で,色調を光学顕微鏡や紫外可視吸収スペクトルで評価し,粒子積層による表面粗さの変化やそれに伴う光学物性の相関の定量化を試みる.更にポリN-ビニルカルバゾール等,親水性官能基を有さない汎用疎水性ポリマーに対しても水面上に展開の後,積層し,積層粒子層状組織体の形成手法を確立する.これは,高さ方向に極めて高秩序なソフトマテリアル粒子層状組織体の形成と物性における学術的提案となり,Langmuirの提案から半世紀以上経て,高分子物理化学の視点からまた一歩,これを発展させる試みとなる.更に,ワイヤーグリッド偏光子を利用した偏光IR測定を併せれば,更に粒子内の分子配列が明らかになると期待される.光学特性を利して非退色性・無害性色材等に用いた場合,粒子内秩序は結晶性には至らぬので,寧ろ非晶質材の積層体から半永久的に転移せず,層状秩序を安定に保つ高弾性体となる.本研究遂行により,国民の目に美しく届く,新規の応力緩和性光学材料創製が実現に向かう.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究実施2年目は,下記のことを想定し,限られた金額での申請にとどめている.即ち,既に国際会議報告を4件予定しており,その渡航費(旅費・宿泊費)や論文の印刷費など,研究成果の報告用経費に加え,研究新展開の礎となる試薬の購入などに使用することを目的とする.
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