2012 Fiscal Year Annual Research Report
精密重合による特殊構造高分子の合成とその表面化剤としての応用
Project/Area Number |
23750257
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平井 智康 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (60585917)
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Keywords | 多分岐高分子 / 表面改質 / 表面濃縮 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
材料の高機能化に伴い、簡便な手法による高分子表面、界面改質法が求められている。ポリマーブレンドは複数の異種高分子を物理的に混合することにより、高分子表面に特異な機能を極めて簡便に付与することを可能にする。表面エネルギーはエンタルピーとエントロピーのバランスによって決定される。重合度の等しい二成分からなるポリマーブレンド表面には、低表面エネルギー成分が濃縮する。また、高表面エネルギー成分からなる高分子の分子量が、低表面エネルギー成分と比較して著しく小さい場合、高エネルギー成分であっても表面に選択的に濃縮する。 多分岐高分子は同程度の分子量からなる線状高分子と比較してその空間的な広がりが小さい。そのため、多分岐高分子と線状高分子とのブレンド膜において、エントロピー的な寄与に基づき多分岐高分子はその表面に選択的に濃縮することが知られている。しかしながら、これまでに、多分岐高分子の分子間相互作用が表面濃縮に及ぼす影響は明らかにされていない。 本研究では、側鎖基に異なる鎖長を有するハイパーブランチポリアミドを用い、分子間相互作用が表面濃縮に与える影響について評価を行った。線状高分子と種々の側鎖を有するハイパーブランチポリアミドのブレンド膜を調製し、X線光電子分光測定に基づき、表面組成解析を行った。その結果、側鎖基の長さが短い多分岐高分子程、表面濃縮が抑制されていることが明らかになった。 多分岐高分子間に働く分子間相互作用は、側鎖基の鎖長の増加に伴い減少する。側鎖基の短い多分岐高分子では、分子間に強い相互作用が働き、線状高分子に対する見かけの分子量が増加する。このため、エンタルピーの寄与がエントロピーの寄与を上回ることにより、表面濃縮が抑制されると結論した。
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Research Products
(1 results)