2012 Fiscal Year Research-status Report
超高速応答可能な液晶性環動ゲルアクチュエータの開発
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23750259
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
木戸脇 匡俊 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (80401230)
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Keywords | 液晶ゲル / 環動ゲル / ポリロタキサン / シクロデキストリン / 高分子液晶 / 液晶 / アクチュエータ |
Research Abstract |
本研究では、液晶性を有するポリロタキサンとその架橋体を合成し、可動な架橋構造を有する新規な液晶ゲルの合成とその応用を検討する。初めに、ポリエチレングリコール(PEG)とα-シクロデキストリン(CD)を用いてポリロタキサンを合成する。次に側鎖となる液晶分子を種々の長さのスペーサーを介してCDに結合することにより、可動な液晶側鎖を有する高分子液晶を合成する。得られた液晶性ポリロタキサンを示差走査熱量計や偏光顕微鏡などで観測をするとともに、低分子液晶との相溶性を調べる。さらに液晶性ポリロタキサンを架橋させることで液晶性環動ゲルを得る。架橋には温度の選択が比較的自由な光架橋を利用する。得られた液晶性環動ゲルは、温度応答特性や電場応答特性を調べることでソフトアクチュエータとしての可能性を探る。 昨年度に引き続き、メソゲン構造と液晶性との関係を調べるためにメソゲン化ポリロタキサンの合成を行った。メソゲンには合成の容易さと光機能性の観点からアゾベンゼンを用いた。また、今年度は、液晶ゲルの合成とその力学特性の解析に重点を置き、ポリロタキサンを架橋剤とした光重合による液晶ゲルの合成を行った。まず、ポリロタキサンを架橋剤とするためにポリロタキサンのCDにビニル基を導入した。次いでこのポリロタキサンと液晶性ビニルモノマーおよび光重合開始剤を溶媒中で混合し、光照射することでゲル化を行った。最後に溶媒を低分子液晶で置換することで架橋点が可動な液晶ゲルを得た。架橋剤であるポリロタキサンに種々の置換基を導入し、低分子液晶溶媒との親和性を変化させることで液晶ゲルの膨潤度や粘弾性に違いが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アゾベンゼンを側鎖とした液晶性ポリロタキサンを合成し、修飾率と液晶性の関連を確認することができた。さらに、アゾベンゼン化ポリロタキサンの水酸基をアセチル化することでガラス転移温度を大きく下げることがわかった。これは水酸基間の水素結合をアセチル化により抑制したことによるものと推察される。また、ポリロタキサンを架橋剤とした液晶ゲルの合成では、ビニル化ポリロタキサンにさらにヒドロキシプロピル基やフェニル基を導入すると、得られる液晶ゲルは高い膨潤度を示し、引っ張り試験においても低弾性で高伸長な特性を有することがわかった。さらに、この液晶ゲルを加熱冷却すると液晶相転移に伴う顕著な体積変化が観察された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きアゾベンゼンをメソゲンとした液晶性ポリロタキサンを合成し、構造と液晶性の関係を調査する。ポリロタキサンを架橋剤とした環動液晶ゲルの合成では、ポリロタキサンにヒドロキシプロピル基やフェニル基を化学修飾すると、より柔軟で応答性の高いゲルを期待される。そこでこれらを中心に力学物性、電場応答特性を測定し、さらに、より大きな変位を見込める一軸配向した液晶ゲルの合成を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね昨年度に準じ、試薬や器具などの消耗品費に20万円、出張旅費を20万円、謝金などに10万円などを計上している。
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