2011 Fiscal Year Research-status Report
環境適合性タイヤ材料を目指した官能基化エラストマーの合成
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23750262
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
西井 圭 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (00552928)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | リビング重合 / 触媒 / イソプレン / ポリイソプレン / 1,4-cis構造 / 連鎖移動 / 官能基化 / 触媒効率 |
Research Abstract |
本研究では,環境適合性タイヤ材料を目指した末端官能基化エラストマーの触媒的合成(触媒効率 = 300%程度)を目的とした.具体的には,ポリマーの一次構造を高度に制御できる錯体触媒を用いて,イソプレンの立体特異性・位置選択性重合を官能基化しつつ触媒的に行う.本研究が達成できれば,一分子の重合触媒から官能基化かつ構造制御されたポリマー鎖を大量に合成できることになる.この結果は,生成ポリマーの低コスト化,重合触媒のリサイクル化など環境低負荷に配慮し学術的分野のみならず,工業的分野という観点からも検討する意義はきわめて高く有効な手法である.上記目的を達成するため,理化学研究所で開発された非メタロセン型イットリウム錯体をボラン化合物で活性化した触媒系にフェニルシラン(連鎖移動剤かつポリマー末端官能基化剤として使用)を添加してイソプレン重合を行なった.この結果,本触媒系はフェニルシラン存在下においても触媒活性は高く,生成した1,4-cis-ポリイソプレンは極めて狭い分子量分布(分子量分布値 < 1.13)と99%の1,4-cis構造を示した.さらに,本系で多段階重合を実施したところ,1,4-cis特異的リビング重合性が確認できた.しかし,触媒効率は55%程度と低く,目標値(300%程度)は達成できなかった.そこで,添加剤をトリエチルアルミニウムに変えたところ,触媒効率は75%に向上したが触媒的合成は達成できなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的達成度はおおむね順調に進展していると判断した.理由としては,連鎖移動剤存在下においても1,4-cis特異的リビング重合が進行し,生成ポリマーは高い1,4-cis選択率を示していたことがあげられる.しかし,ポリマー末端の官能基化の確認および触媒効率の改善が未達成であるので次年度検討する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上記理由を考慮し,連鎖移動剤(ポリマー末端官能基化剤)をさらに種々検討する予定である.また,研究の方向性を再確認し,これにより改善点等があれば取り組む予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記理由を考慮して,次年度の研究費は連鎖移動剤(ポリマー末端官能基化剤)やマグネチックスターラーなどの試薬や小規模設備費として使用を計画している.
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