2012 Fiscal Year Research-status Report
硼酸塩材料の融液構造と結晶構造の原子間距離における相関性
Project/Area Number |
23760003
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志村 玲子 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90420009)
|
Keywords | 結晶成長 |
Research Abstract |
融液成長結晶を戦略的に高品質に作製するために、融液構造の結晶化への影響の基礎的な解析を行うべく、α相とβ相を持つと言われるBa3RE(BO3)3 系を用いて、希土類種類(イオン半径)による結晶と融液の構造変化を理解することを目的としている。 昨年度に引き続き、本年度は、W管球を設置した非晶質用X線回折装置を用いて、融液構造解析用にエネルギー分散型X線回折(EDXD)の測定・解析システムの改造・構築の作業から開始した。標準試料を用いて、マルチチャンネルアナライザーを使用した測定のエネルギー校正を行い、十分な強度を得るための適切な時間やアンプの設定などを確定させた。また、 ケイ酸塩ガラスを用いて、解析に必須である初期ビームのエネルギー分布の補正方法を確立し、基本的なシステムのセットアップを完成させた。実際の融液測定に入るにあたり、融液にするためのβ相(低温相)の粉末試料原料を焼結合成で作製した。また、初期物質の結晶構造の影響を考慮するために、α相(高温相)の粉末試料原料を別途用意することを意図して、フラックス法でα相単結晶試料の作製を試みた。その結果、予想外に未報告の結晶相を発見したため、この単結晶構造解析も行うこととした。本結晶については、本年度の日本結晶成長学会で簡単に未報告相の発見について報告したが、より詳細に検討が必要であると考え、研究期間を一年延長し、引き続き解析を行っている。この結果と併せ、次年度中に当初の目的を完成する予定で、現在融液の構造解析を進行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に計画していた融液構造解析のセットアップを昨年度末から開始したため全体の進行状況は当初の計画とは異なっているが、昨年度の報告書にも記載したとおり、順序を入れ換えて本年度行う予定であったものを1年目に前倒しで行ったため、おおむね順調である。また、新たな興味深い現象を発見して、その解析を行う事としたため、期間を一年延ばすこととした。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在行っている融液のEDXD測定のための作業は順調に進んでいるため、昨年度に引き続き、このまま継続して計画通りに作業を進行させる。また、新たに、新規物質の構造解析を行い、これらの全体の結果をまとめて、本研究の総括を行う計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度から繰り越した未使用金19万円は、X線装置の高温部品の消耗品代、最終年度としてシンポジウムなどでの発表のための旅費と論文掲載料等に充てることしたい。
|
Research Products
(4 results)