2012 Fiscal Year Research-status Report
窒化インジウムバルク結晶成長に向けた選択的な原料分子種生成メカニズムの解明
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23760006
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
富樫 理恵 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50444112)
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Keywords | エピタキシャル / 結晶成長 / 窒化インジウム / HVPE / 熱力学解析 |
Research Abstract |
これまでに従来の原料部と成長部の2部からなるHVPE装置の原料部において、高純度金属InとCl2との反応によりInCl3を生成し、成長部にて生成したInCl3とNH3間の反応によりInNのハイドライド気相成長(HVPE)が可能であることを示してきた。しかしこの反応では、原料部においてInCl3の生成割合は低く、成長に寄与しないInClの生成が主であることが問題となっており、厚膜InN成長は実現していなかった。そこで、平成23年度では、高品質InNバルク結晶成長を実現するために、(1)従来型HVPE装置を用いた高速InN成長の検討、(2)InCl3分子のみを選択的に生成できる反応条件の熱力学解析による探索、(3)得られた知見に基づいた原料生成部を2段構造とした新規HVPE成長装置の設計・構築を行った。 平成24年度では、引き続き新規HVPE装置の構築を行い、完成に至った。さらに、InNの高速HVPE成長の実施、および解析を行った。反応管には大気圧ホットウォール型縦型石英反応管を用いた。2段構造原料部の1段目に高純度Inを設置し、窒素キャリアガスでCl2を供給し、InClを優先生成した。次に2段目において、InClに再度別ラインからCl2を追加供給してInCl(g) + Cl2(g) = InCl3(g)の気相反応によりInClをInCl3に転換した。この反応の平衡は右に大きくシフトするため、InCl3が高効率で生成できる。最終的に成長部にてInCl3とNH3ガスを反応させてInNを成長した。これより、従来型HVPE成長装置を用いた場合の約1/40倍のCl2供給分圧にて同程度のInN成長速度を実現した。すなわちInCl3生成効率が飛躍的に改善した。さらに、原料供給分圧が低く、成長温度が高いにも関わらず成長速度は12.4 μm/hに達しており、InNの高速成長を実現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度では、これまで熱力学的な検討により得られた知見を基に、原料生成部を2段構造とした原料分子種生成制御機構を有する新規HVPE成長装置を構築し、InCl3の高効率生成によるInNの高速HVPE成長を検討した。これより、従来型HVPE成長装置を用いた場合の約1/40倍のCl2供給分圧にて同程度のInN成長速度を実現できた。すなわちInCl3ガス生成効率を飛躍的に改善することができた。さらに、新規HVPE装置を用いることで、原料供給分圧が低く、成長温度が高いにも関わらずInNの高速成長を実現でき、成長速度は12.4 μm/hに達した。InNの均一成長を確認し、X線回折測定からInN単結晶層が得られていることも確認した。原料濃度を高めることにより更なる高温高速成長が期待される。 本成果は、国内会議、および一部国際会議にて発表した。平成25年度では、更に国際会議での発表、および論文発表を予定している。以上より、実施計画通りに順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、構築した新規HVPE装置を用い、「窒化インジウムバルク結晶成長に向けた選択的な原料分子種生成メカニズムの解明」について、更に詳細な検討を行う。 具体的には、(1)成長温度がInN高速成長に与える影響について検討する。特にInN成長温度の高温化を目指す。InNは熱的安定性が極めて低く、分解が顕著となる600℃以上で成長の駆動力を維持することは極めて難しい。しかし、高品質InN結晶の成長のためには結晶表面での原料分子のマイグレーションが促進される高温が有利である。新規HVPE成長装置を用いることでInCl3の高濃度供給が可能で、InN成長の駆動力を高温でも大きなまま維持できる。そのためこれまでに検討例の無い高温領域でInNの成長を行うことが可能になり、InNの結晶品質を飛躍的に向上させることが期待できる。解析には、SEM、X線回折測定、SIMS測定、PL測定、赤外分光測定等を用い検討する。(2)極性がInN高速成長に与える影響について検討する。InNは六方晶ウルツ鉱型構造であることからc軸方向に非対称の構造を有しており、結晶成長において極性を制御すること、および極性の違いが結晶成長に与える影響を検討することは非常に重要である。平成24年度では、MOVPE法により成長したGa極性GaN/sapphireテンプレートを初期基板として用いることで、In極性InNに関する結果を得た。一方、我々はNH3により窒化させたサファイア基板を用いることでN極性InNが成長することを報告している。そこで平成25年度では、窒化サファイア基板上N極性InNの高速成長について併せて検討を行い、In極性との違いについて詳細に検討する。(3)InNバッファ層技術を導入し、InN層の高品質化、および歪制御を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、熱力学解析結果に基づいた装置の構築、InNの成長実験の実施、及び解析を行った。予定していた物品費より使用金額が低くなったため、この費用は作製したInN成長層の解析費として平成25年度へ繰り越す。さらに、平成25年度は、構築した新規HVPE装置を用い、「窒化インジウムバルク結晶成長に向けた選択的な原料分子種生成メカニズムの解明」についてInNの成長実験の実施、及び解析を行うことにより、更に詳細な検討を行うことを予定している。そのため、研究期間を通して、消耗品として石英反応管類、反応管コネクター類、高純度インジウム金属、高純度原料ガス(塩素、アンモニア)、原料輸送ガス(窒素、水素)、初期基板(サファイア基板など)等が必要である。その他、調査・国内外の学会参加および発表のための旅費、成果の論文投稿関連費が必要となる。
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[Presentation] HVPE growth of InN on InN/sapphire (0001) templates prepared by MBE
Author(s)
Ryota Imai, Sho Yamamoto, Rie Togashi, Hisashi Murakami, Yoshinao Kumagai, Tomohiro Yamaguchi, Tsutomu Araki, Yasushi Nanishi, and Akinori Koukitu
Organizer
International Workshop on Nitride Semiconductors 2012 (IWN2012)
Place of Presentation
Sapporo Convention Center, Sapporo, Japan
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