2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神吉 輝夫 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40448014)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 酸化物エレクトロニクス / 新機能電子材料 / 確率共鳴 |
Research Abstract |
ノイズに埋もれた微弱信号の検出ができるVO2確率共鳴素子の創出に向け、本年度は、VO2ナノ微細加工プロセスの確立とリアルタイム非線形電気応答を測定するための計測システムを立ち上げた。1.VO2薄膜のナノ微細化プロセスの確立 ナノインプリントリソグラフィー法を用いて、VO2薄膜の微細加工プロセスの確立を行った。VO2薄膜は、酸・アルカリ溶液に容易に溶け、またプロトン性溶媒においても反応するため、微細加工時のウエットプロセスにおいてVO2が残存できるようなレジストを使う必要があった。このことを鑑み、VO2が反応しない限られたエッチング溶液でリフトオフできる適切なレジストを選定した。また、O2反応性イオンエッチングのレートが異なるレジストを重ねた「2層レジストナノインプリント法」により、従来のモールドサイズ以下のナノ構造体の作製に成功し、幅30nmのVO2ナノワイヤーを作製できるようになった。2.リアルタイム非線形電気応答計測・評価システムの立ち上げ リアルタイムにμ秒ステップで電気伝導計測を行える測定システムを立ち上げた。このシステムの特徴として、電気伝導測定と同時に1μm程度までの大きさの金属―絶縁体ドメインの振る舞いを光学顕微鏡で観測できることである。顕微鏡画像を電気伝導測定結果と照らし合わせることにより従来では窺い知りえなかった詳細な物性評価ができるため、確率共鳴デバイスの高効率化に向けたサンプル形状等へのフィードバックが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VO2ナノ微細加工技術の確立については、当初見込みの100nmクラスを超えて、30nmまでの微細化ができたこと、及びリアルタイム非線形電気応答測定・評価システムの立ち上げについては、電気伝導測定と顕微鏡観察の同時測定が可能となったことから、当初の見込み以上の進展があった。一方で、1μmサイズ以下のVO2薄膜とPt電極との重ね合わせ位置がずれることや電極との接触抵抗が問題となり、VO2ナノ構造体での電気伝導測定ができていない。このことから、当初予定していたナノサイズのVO2薄膜を用いた低閾値電圧(数百ミリボルト)で動作するVO2コンパレータの作製・評価、及び不均質ナノドメインゆらぎを電気的に検出するには現在のところ至っていないが、すでに上記問題を解決できる方策を見出しており、当初通りの研究計画を遂行できる目途が立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度、研究を遂行する上で問題となった1μmサイズ以下のVO2薄膜とPt電極との重ね合わせ位置がずれることについては、VO2ナノ構造体形状の工夫により、電極位置のアライメントをしやすくし、歩留まりを高めることができるようになってきた。 また、電極とVO2との接触抵抗が大きい問題に対しては、原因が、電極とVO2との段差とVO2表面上の残留レジストであることがわかってきた。電極とVO2の膜厚のコントロールを行うことによってVO2上と基板上とのPt電極の段差の解消をするとともに、VO2表面に残留したレジストを完全除去するため、微細加工プロセスの改良を行っており、解決できる目途がついている。このことからも、当初予定通り研究を遂行していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(11 results)