2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神吉 輝夫 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40448014)
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Keywords | 酸化物エレクトロニクス / 新機能電子材料 / 確率共鳴 |
Research Abstract |
ノイズに埋もれた微弱信号の検出ができるVO2確率共鳴素子の創出に向け、本年度は、去年度の問題点であった、VO2ナノ薄膜への電極アライメント、及びナノ構造の電気抵抗増大(前年度の報告では、電極-VO2間での接触抵抗と記載)の問題を解決し、電気伝導測定可能なVO2ナノ構造体の作製に成功した。また、VO2ナノ構造体の電気計測を行い、微弱ノイズによって動作する確率共鳴素子応用への道筋をつけた。 1.VO2ナノ構造薄膜への電極アライメントプロセスの確立 前年度に解決していなかったVO2ナノ構造薄膜への電極アライメント、及びナノ構造の電気抵抗増大の問題点を解決した。まず、電極アライメントに関しては、ナノインプリント時に用いるモールドに位置調整するマーカーを付与し、その後の電極パターンを作製するためのレーザーダイオード(LED)リソグラフィー装置で確認できるようにしたところ、精度±1μmで、位置調整することができ、十分なアライメント精度を確保することができた。また、電気抵抗が増大する問題では、その後のサンプル評価で、TiO2(001)基板上のVO2では、無数のクラックが入っていることが分かった。ナノ構造体においては、このクラックが電気伝導を阻害していることが分かり、基板をAl2O3(0001)に変えることによりこの問題を解決することができた。 2.VO2ナノ構造体の電気伝導測定 細線幅200nmのナノ構造体に電圧を印加し、金属-絶縁体相転移の閾値電圧を調べたところ、2~3ボルトで相転移することが分かった。当初十数ボルト必要であった閾値電圧を一桁下げることに成功したが、微弱な環境・熱ノイズを用いた確率共鳴素子を実現するためには、もう一桁低い(数百mV)閾値電圧が必要である。現在は、この閾値電圧を実現するため、数十nmクラスの微細加工を進めている。
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Research Products
(10 results)