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2011 Fiscal Year Research-status Report

ErSiO/Si構造を用いたSi系赤外発光材料の研究

Research Project

Project/Area Number 23760016
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

石山 武  岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (40314653)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsシリコンフォトニクス / シリコン系赤外発光 / エルビウム
Research Abstract

ErSiOの赤外発光特性に影響する要因として、ErSiO/Si界面および膜中の欠陥に注目し、これらの諸要因を成膜後のアニール処理により制御することを試みた。Erの蒸着後に、1000度以下の温度でAr雰囲気中熱処理を施しても室温、77 KともにErからの発光を観測することは出来なかった。これは、1000度以下では結晶化に必要な熱エネルギーが足りていないことが原因であると考えられる。一方、熱処理温度を1200度程度まで上昇させた場合、Erの室温発光は非常に大きく、さらに高温の1300度では室温、77KともにErの発光は消失することが分かった。このことより、1300度以上の高温では、ErSiO化合物層中に非発光性再結合中心となり得る結晶欠陥が形成されている可能性が考えられる。また、一部の試料中からはEr発光中心の結晶場分裂による複数の発光ピークが観測された。このことは、部分選択的に特定のEr発光中心および結晶層が形成されたことを意味している。すなわち、結晶性の良さという観点からは、現研究段階では1200度付近が適切な処理温度であると考えられる。また、これらの試料について電子スピン共鳴(ESR)測定を行った結果、複数の信号を検出することができた。これらの信号は通常シリコンやシリコン酸化膜中の欠陥に対して観測される共鳴磁場とは異なる磁場位置で観測されることから、ErSiO化合物中の欠陥、あるいはErの4f電子を直接観測している可能性が高いと考えられる。さらに、これらの信号は異方性を有することがわかった。このことは、Erの発光に結晶場分裂が観測されたことと同様に、ErSiOが結晶化していることを示している。このように、熱処理条件の最適化により、安定室温発光するErSiO結晶を形成することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、産業応用上の観点からも有利である真空蒸着法を用いて作製したErSiO/Si構造の赤外発光特性・発光機構を明らかにし、成膜条件の最適化により赤外発光の高効率化を達成し、次世代の基盤技術として期待されているシリコンフォトニクスにおける、Si系赤外発光素子として、ErSiO薄膜を応用することを目指している。そのために、まずは試料作製法・アニール処理法の最適化を行い、安定した室温赤外発光が得られる試料を作製することが重要である。これまでに、試料作製後のアニール処理条件について様々な温度での処理を行い、その後の光学測定、結晶評価を通して、室温赤外発光するErSiO化合物が形成される温度領域が明らかになった。このことにより、今後、雰囲気ガス、冷却速度等、その他のアニール処理条件についての実験と検討を進めていくための、基礎的なアニール処理条件を得ることができたと考えられる。また、結晶性の評価結果からは、シリコンやシリコン酸化膜に起因する欠陥は検出されておらず、シリコン励起による高効率Er発光についても非常に良い方向の実験結果を得ることができた。

Strategy for Future Research Activity

アニール処理法の最適化として、今後さらに、様々な条件下(処理時間・雰囲気ガス)での成膜後のアニール処理による膜の結晶化、界面・膜中欠陥の制御を行い、赤外発光増大を目指す。特に、昇温速度・降温速度の制御は、昇温中・降温中におけるErSiO膜の結晶性・界面の変化を妨げること、あるいは逆に利用することが可能となるため、SiからErSiO膜へのエネルギー移動効率の増大へ大きな効果があると予想される。また、真空蒸着法による試料作製条件についても、Er・Er2O3・SiO・SiO2等を蒸着源とすることで組成比を変化させるとともに、基板過熱による低ダメージで界面がきれいな膜の作製を試みる。従来予測していたよりも、アニール処理が容易に行えたため、処理装置の大幅改造等の必要もなく、さらに試料作製法についても大幅な変更がなかったために、今後の新しい処理条件の探索、試料作製法の最適化についてさらに充実させるための研究費として次年度以降に使用する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

おもに、蒸着源・Si基板などの材料費や試料作製に必要な薬品類、アニール処理のための高純度ガス、光学部品(レンズ・ミラー)、その他の実験消耗品(ガラス器具等)に使用する。さらに、今後の新しい処理条件の探索、試料作製法の最適化についてさらに充実させることを検討し、新しい試料作製プロセスを追加するための研究費として使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2011

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 発光性Er-Si-O化合物欠陥のESRによる研究2011

    • Author(s)
      鶴川貴大,石山 武,上浦洋一,山下善文
    • Organizer
      2011年度応用物理学会中国四国支部若手半導体研究会
    • Place of Presentation
      鳥取大学
    • Year and Date
      2011年7月31日
  • [Presentation] 電子スピン共鳴法によるSi酸化膜中欠陥のアニール挙動2011

    • Author(s)
      安部信行,松井洋輔,石山 武,上浦洋一,山下善文
    • Organizer
      2011年度応用物理学会中国四国支部若手半導体研究会
    • Place of Presentation
      鳥取大学
    • Year and Date
      2011年7月31日
  • [Presentation] 発光性Er-Si-O化合物中欠陥のESRによる研究2011

    • Author(s)
      鶴川貴大,石山 武,上浦洋一,山下善文
    • Organizer
      応用物理学会中国四国支部・日本物理学会中国支部・四国支部・日本物理教育学会中国四国支部2011年度支部学術講演会
    • Place of Presentation
      鳥取大学
    • Year and Date
      2011年7月30日
  • [Presentation] 電子スピン共鳴法によるSi酸化膜中欠陥の同定2011

    • Author(s)
      安部信行,松井洋輔,石山 武,上浦洋一,山下善文
    • Organizer
      応用物理学会中国四国支部・日本物理学会中国支部・四国支部・日本物理教育学会中国四国支部2011年度支部学術講演会
    • Place of Presentation
      鳥取大学
    • Year and Date
      2011年7月30日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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