2012 Fiscal Year Annual Research Report
窒化物半導体における表面再結合過程の解明と発光効率向上に向けた基礎研究
Project/Area Number |
23760021
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
尾沼 猛儀 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10375420)
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Keywords | 窒化物半導体 / 表面再結合 / 窒化ガリウム / 酸化ガリウム / 酸化亜鉛 / 再結合ダイナミクス / 半導体物性 / 結晶工学 |
Research Abstract |
本研究では、これまで窒化物半導体研究において殆ど注視されていなかった表面再結合過程に注目した。具体的には、分極の有無、表面/体積比が表面再結合(SR)過程に与える影響、表面処理が再結合過程へ与える影響を、主にフォトルミネセンス(PL)法、カソードルミネセンス(CL)法と時間分解フォトルミネセンス(TRPL)法を用いて調査し、発光効率向上に向けた素子設計の指針を提案することを目的とした。以下の3点を主な成果として挙げる。 ①GaNはウルツ鉱構造をとり、c面には自発分極の影響が現れる。角度分解X線光電子分光測定から、自発分極によりGa極性の+c表面ではバンドが高エネルギーに曲がり、N極性の-c表面ではn型半導体であっても低エネルギー側に曲がることを観測した。そこで、独自のモデルを構築し、TRPL測定をはじめとする光学的特性評価から、モデルの妥当性を示すとともに、酸化亜鉛(ZnO)との比較から、有極性半導体における特異な現象であることを見出した。 ②結晶中の歪み、不純物、欠陥などを調査する手法の一つとして深さ分解CL法が用いられる。通常は、電子線の加速電圧により打ち込み深さを変化させるが、加速電圧により電子ビーム径や試料電流が変化し、励起密度が揺らいでしまうため、強度の定量的議論が難しい。そこで、電子線の入射角度を変化させ、励起密度を保ったまま電子線の打ち込み深さを変化させる「電子線入射角度依存CL法」を新たに提案し、ZnO基板の測定から定量性を実証した。 ③ ①を行う過程で、GaN表面の自然酸化膜は酸エッチングにより取り除いたが、酸化膜やその界面の影響も、素子設計を行う上では重要な要素となる。そこで、手始めに酸化ガリウムそのものの光学的特性を調査した。CL測定から発光機構を探るとともに、偏光ラマン測定から格子振動の様子を調査した。
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