2012 Fiscal Year Annual Research Report
収差補正電子顕微鏡と第一原理計算による立方晶SiC/Si界面の三次元原子配列解析
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23760030
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山崎 順 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (40335071)
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Keywords | 3C-SiC/Si界面 / 界面構造解析 / 収差補正透過電子顕微鏡 / 偽像処理 / 第一原理計算 / 積層欠陥 / ミスフィット転位 |
Research Abstract |
前年度に解明した界面テラス部分の長周期構造について、エネルギー的妥当性を第一原理計算により検証し、安定構造であることを確認した。それに続き、本研究の本題である積層欠陥と界面の接合構造についての解析に取り組んだ。昨年度までは過去の文献にならい90度ショックレー部分転位として解析を行っていたが、積層欠陥上下の(111)面の積層方向と、積層欠陥に約71度で交わる (-111)面の抜けを確認したところ、実際は30°部分転位であることが判明した。また積層欠陥と界面の接合部分に界面ステップが形成されていることを昨年度発見したが、この周辺におけるSiとSiCの結晶格子のマッチングを詳細に考察した。その結果、ステップと積層欠陥が近接して形成されることにより、大幅に格子歪みエネルギーが低減されていることが判明した。 一方、Siのオフ基板上に作製したSiC膜を電子顕微鏡観察したところ、界面に多数のステップバンチングが形成されていた。この結果は、Si表面の炭化反応がステップフローによって進行することを示している。積層欠陥はバンチング部分からもテラス部分からも発生していたが、後者の積層欠陥のみが成長方向に顕著な偏りがあった。undulation基板を用いた積層欠陥対消滅の根幹をなすのは傾斜界面からの指向性のある積層欠陥成長であるが、その根源がテラス部分に点在する界面ステップであることが判明した。 以上の結果は、Si表面の炭化反応中に形成された界面ステップが積層欠陥生成を誘起している可能性を強く示唆するものである。このため炭化反応時間を変えたいくつかの試料を電子顕微鏡観察し、積層欠陥形成時期を調べた。その結果、炭化反応初期段階において既に数nmの炭化層が形成されており、大量の積層欠陥が発生していることが判明した。これらの結果を総合し、積層欠陥形成メカニズムのモデルを提案することに成功した。
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