2011 Fiscal Year Research-status Report
対向型2探針走査トンネル顕微鏡によるナノスケール電子伝導測定
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23760032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒川 修 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90303859)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / グラフェン |
Research Abstract |
H23年度は,計画どおり,計画書で提案した「対向型2探針走査トンネル顕微鏡」の開発を行った,この装置は通常一つの探針で表面を走査する走査トンネル顕微鏡の探針を2本使用し,それぞれを「ナノスケールのテスター」として使用するもので,今回の提案は探針の配置に工夫を凝らしたものとなっている.本年度はこの2つの探針のを制御するプログラムの開発に着手し,これを完成させた.このプログラムは効率良く2つの探針を制御が可能で,また今後の研究の進展を見越して,全体が非常に柔軟性の高い構成となっている.また本体部分の仕様・設計を完了し,現在システムの作製を進めている.本装置はこれまで困難であった一桁ナノメートルの領域まで2つの探針を接近させ,このスケールでの電子伝導度測定を試みるという野心的な研究を可能にするものである.このような測定は,もう少し大きな空間スケール(数10nm以上)で例があるだけであり,今回の装置の開発により初めて電子の平均自由行程内での電子伝導測定が自由に行えるようになると考えられ,その意義は大きい.装置には非常に高い機械的安定性が要求されることが予想される.このことから,装置の構造に関しても,いくつか独自の機構を考案し,設計した.また前述のようにシステムに柔軟性を持たせるため.再構成可能なシステムを採用した.また,最初の観察対象であるグラフェンに関しても,観察に適した形態の試料作製に着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現計画では,H23年度中に最初の実験を試みる予定であったが,検討の結果,計画段階で想定していた,単純な走査プローブ制御装置を2つ組み合わせる方法ではなく,2つの探針を1つのプログラムで制御する方法を採用したため,この開発の分時間がかかった,しかしながら,現在システムはほぼ完成段階までこぎつけており,遅れは僅かである.
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り,グラフェンを試料とした,一桁ナノメートル領域での電子伝導度測定を行う予定である.またグラフェンの静電遮蔽能力の測定,2重トンネル障壁を介した電子トンネリングなど,他の興味深い現象・対象に関しても測定を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
装置を完成させるための部品製作に予算を使用.また試料ホルダー(透過型電子顕微鏡の試料ホルダーを流用)の購入.グラフェン試料の購入などに研究費を使用する予定.
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