2012 Fiscal Year Annual Research Report
アルゴンクラスターイオンビームによる高分子表面の化学結合選択スパッタリング
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23760037
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
盛谷 浩右 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20391279)
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Keywords | イオンビーム / クラスター / 質量分析 / 表面界面 |
Research Abstract |
本研究の目的は、運動エネルギーと大きさを精密に制御した気体クラスターイオンを有機分子薄膜に照射し、スパッタ時に起きる分 子内の結合解離を制御することである。 平成24年度は、平成23年度に調べた二次イオン種の1原子当りのエネルギー(Eatom)依存性から含有成分および分子構造を解析する方法として、多変量解析の手法を導入して解析を行った。比較的分子構造が単純な、ポリス チレン薄膜、ドデシルベンゼン(DDB)薄膜、PMMA薄膜、銀、ITOガラス、未知の表面汚れがついた金属基板試料、数種類の無機及び有機物試料に照射し、二次イオン質量分 析(SIMS)測定をおこなった。Eatomの違いと、照射量の違いによる放出二次イオン種の変化を解析した。 解析に用いた手法は、主成分分析と、SMCR(self-modeling curve resolution)法である。SMCRは複数の成分が含まれるスペクトルから、スペクトル分解によって各成分の純粋なスペクトルを分離する手法である。まず主成分分析により成分数を類推し、次にSMCR法によってスペクトル分解をおこなった。その結果、未知の表面汚れの成分をメタクリル酸由来、アクリル酸由来、シランカップリング材によるものと同定できた。また、より詳細な分子構造解析に応用するため、ポリスチレンのSIMSスペクトルのEatom依存性を同様の方法を用いて解析したところ、それぞれのピークをアルキル基破断、ベンゼン環破断、汚染物スペクトルに分離できた。今後より精度の高い解析法を開発していく。 また、前年度に立ち上げを開始したX線光電子分光装置(XPS)の立ち上げを完了し、XPSスペクトルの測定を行った。今後はSIMS、XPSスペクトルの結果を合わせて考察し、ガスクラスターSIMSスペクトルからの分子構造解析法を確立していく。
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Research Products
(7 results)