2012 Fiscal Year Research-status Report
EBIC法と陽電子マイクロビーム法による半導体中欠陥の高度化解析システムの構築
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23760039
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
前川 雅樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10354945)
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Keywords | 陽電子マイクロビーム / 空孔型欠陥 / 空間分布 / EBIC測定 / 欠陥準位 / 再結合中心 / イオン照射 |
Research Abstract |
本研究では、我々がこれまで開発した世界最高レベルの収束度を持つ陽電子マイクロビーム装置に、電子ビーム誘起電流(EBIC)測定回路を付加することで、半導体試料に存在する欠陥の評価を行うことを目的としている。H23年度には、すでに完成している陽電子マイクロビーム装置に対し、絶縁ステージ上にマウントした試料にバイアス電圧を加えつつ高感度電流測定が可能な計測システムを接続し、電子ビームを使うことでEBIC法で欠陥分布と形状を検出しながら、同時に陽電子消滅法で欠陥種を同定することで欠陥構造を知ることが出来るシステムを構築した。H24年度では、これを用いて実際の試料の測定を行った。試料にはn型およびp型のFZ-Si基板を用い、これを熱酸化法により40nm程度のSiO2膜を表面に形成したものを用いた。これに対しマスキングを施すことで部分的にHe照射(200keV)を行い欠陥を導入した。照射後に金蒸着によりMOS構造を作成した。電子ビームおよび陽電子ビームを平面的に走査することでEBICおよび陽電子消滅パラメータの二次元分布イメージを取得した。EBIC法・陽電子法ともに欠陥領域でコントラストが発現した。しかしEBIC法ではn型及びp型試料で同様のコントラストが見られたが、陽電子法ではp型のコントラストが減少した。これは欠陥の荷電状態がp型ではより正であるためであると考えられる。陽電子法を用いてから欠陥構造を推定したところ、He原子が充填された空孔型欠陥であることが分かった。これは誘起電流減少を引き起こす再結合中心が、空孔型欠陥と関連があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料作成及び測定に関しては概ね予定通りであったが、一部予定していた試料作成について十分行えなかったので、次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン注入試料の作成を進める。マスクを用いて部分的に照射損傷を導入した試料に、金属電極を蒸着し金属-酸化膜-半導体(MOS)構造形成したものを用い、陽電子マイクロビームによる欠陥評価およびEBICによる誘起電流の変化を測定する。照射ドーズ依存性、注入後の熱アニール依存性などの測定を行う。また、H24 年度に測定された基板の伝導型によるコントラストの差異について再測定を行い、違いがある場合にはその原因を考察する。可能であれば、自己イオン照射、高拡散速度の金属イオン照射なども検討する。そのためのイオン注入のマシンタイムも確保できている。試料構造としては、シリコン半導体基板に酸化膜を形成した後に金属を蒸着し金属-酸化膜-半導体(MOS)構造を形成したものを作成し、EBIC法あるいはSEM観察によって検出される欠陥コントラストと陽電子消滅法から決定できる欠陥構造との対比を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度までの予算は全額執行済み
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