2011 Fiscal Year Research-status Report
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23760048
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
清水 亮介 電気通信大学, 先端領域教育研究センター, 特任准教授 (50500401)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 量子光学 / 量子もつれ / 量子エレクトロニクス / 非線形光学 |
Research Abstract |
これまでに擬似位相整合素子PPKTP(Periodically Poled KTiOPO_4) による正の周波数相関を持つ2光子光源とPPMgSLT (Periodically Poled MgO-doped Stoichiometric LiTaO_3) による負の周波数相関を持つ2光子光源の開発に成功しているが、従来の2光子光源は波長1584 nmを中心に、15 nm程度のスペクトル幅を持っていた。今年度は時間領域量子もつれ光子の波束操作技術の開発に向け、周波数量子もつれ光源の高性能化に取り組んだ。量子もつれ光子対の周波数相関制御では、自発パラメトリック変換過程におけるポンプ光子、シグナル光子、アイドラー光子間の群速度の関係が重要である。PPKTP結晶ではtype-IIの位相整合条件のもとで、ポンプ光波長792 nm、シグナル光子、アイドラー光子の波長が1584nmにおいて群速度整合条件を満たすため、周波数相関制御の自由度が高い。SPDC過程に利用するポンプ光源として、中心波長792 nmのモード同期Ti:sapphireレーザーを用いているが、今年度はPPKTPの素子長30mmに対してバンド幅1.3nmのTi:sapphireレーザーをポンプ光として使用することで、正の周波数相関を持った量子もつれ光子を発生させた。また、素子長10mm のPPKTPに対してバンド幅0.4nmのTi:sapphireレーザーを用いることで、負の周波数相関を持った量子もつれ光子対を発生させた。これにより、PPKTP結晶のみを用いて正および負の周波数相関を制御することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は2010年10月に現在の研究実施期間に着任し、研究室を一から立ち上げてきた。本研究を開始した2011年度前半は着任から1年未満しか経過しておらず、研究室の基盤設備の立ち上げに多くの時間を割いた。しかし、2011年度後半からは実験研究の環境も徐々に整い、研究実績欄に記載した周波数量子もつれ光源の高性能化を実証することが出来た。一方で、本研究の目的達成への技術的課題である超短パルスによる単一光子の時間分解計測技術では、高効率な非線形光学素子を利用することが、実験成功のポイントになると考えている。研究計画当初はバルク型の非線形光学素子を利用することを予定していたが、近年、非常に高い波長変換効率を持つ導波路型の非線形光学素子が手軽に利用できるようになってきている事実が途中で判明した。そのため、バルク型と導波路型の非線形光学素子との比較検討に時間を費やしたため、時間分解計測に利用する非線形結晶の仕様を決定に時間がかかり、実際の時間分解計測実験を取り組むに至っていない。しかし、アラインメント用のレーザー等、非線形光学素子以外に必要なの実験装置の準備は進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
単一光子の時間分解分光に利用する非線形光学素子を検討した結果、導波路型の非線形光学素子は効率が高い反面、意図しない非線形光学現象が無視できない割合で生じるため、信頼度の高い実験結果を得ることが難しい可能性が高いことが分かった。そこで、当初の予定通りバルク型の非線形光学素子を利用することとし、次年度以降、早急に素子の準備を行う。素子の準備には2ヶ月程度の時間を要することが予想されるため、その間に、当初の研究課題である「空間位相変調器による時間領域量子もつれ光子波束の任意波形制御技術の開発」の準備を進める。バルク型の非線形光学素子の仕様準備出来た後は、「単一光子の時間分解分光技術の確立」と「量子もつれ光子波束の任意波形整形技術の確立」とを平行して進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究費については、当初、非線形光学素子の購入に約百万円程度の研究費を予定していたが、前述したように素子の選定に時間を要したため、当初計画していた前年度での購入に至らなかった。しかし、上述したようにバルク型の光学素子を購入するとの結論に至り、その詳細な仕様についてはおおよそ決定しているため、次年度初頭には速やかに発注作業を行う予定である。また、当初は次年度前半に空間位相変調器を導入する予定であったが、実験規模を拡大させるにあたり、ミラーやレンズ、光学フィルターといった光学部品が当初の予定より不足していることが判明し、追加購入する必要が生じた。そのため、次年度は光学部品の購入を優先し、その後、可能であれば残りの予算を空間位相変調器の購入に充てることとする。
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Research Products
(7 results)