2012 Fiscal Year Annual Research Report
相関光子による局在プラズモン誘起と2光子励起場への応用
Project/Area Number |
23760050
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岡 寿樹 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (00508806)
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Keywords | 量子相関光子 / 局在プラズモン / 2光子励起 / 量子制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、量子相関光子がもつ同時性と金属ナノ構造による電場増強との相乗効果を利用して、分子系における2光子励起効率の更なる高効率化を可能とする2光子励起場の創成を目指すことにある。 最終年度では、まず前年度に確立した理論、量子相関光子と局在プラズモンの相互作用ダイナミクスの時空間2光子パルス理論を用いて、局在プラズモン系によるエネルギー量子もつれ光子対の生成について解析した。十分に大きな金属ナノ構造体を反射構造を持つナノアンテナを形成するように配置することで、入射された2光子は効率良く量子もつれ光子対に変換されることを明らかにした。これは、局在プラズモン系において量子もつれを形成する機構が存在することを示しており、本研究の目的である量子もつれと局在プラズモンが両立する2光子反応場への応用が可能であることを示唆する重要な結果である。更に、入射光子対のパルス幅が短くなるほど、生成されるもつれ光子対のもつれ度が高くなり、しかも短パルス化されることが数値解析から分かった。この結果はブロードな帯域をもつエネルギー量子もつれ光子対の生成源としての可能性を示唆するもので有り、局在プラズモン系の新しい応用例の芽としても意義がある。 次に、2光子励起場への応用例として、光合成系エネルギー移動における量子もつれ度を解析し、その役割を明らかにした。具体的には、紅色光合成細菌の集光体のエネルギー移動における量子もつれ度を解析し、量子もつれが初期の高速エネルギー移動に寄与していることを明らかにした。これは光合成系エネルギー移動を量子もつれ光子を用いて増強できる可能性を示唆する。 エネルギー移動過程は、光合成系における重要な分子過程の一つであり、前年度および最終年度に得られたこれらの成果を組み合わせることで、局在プラズモンと量子もつれ光を用いた新しいエネルギー移動制御法の可能性が拓ける。
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Research Products
(2 results)