2012 Fiscal Year Research-status Report
カルコゲナイドガラスへのインプリント加工による高機能赤外デバイス製作に関する研究
Project/Area Number |
23760052
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
山田 逸成 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (40586210)
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Keywords | カルコゲナイドガラス / インプリント加工 / 反射防止構造 |
Research Abstract |
【研究の目的と24年度の目標】赤外用ワイヤグリッド偏光子の基板として用いられるフッ化物は難加工性、Ge基板は高価であることが問題とされている。さらに、数百nm周期の金属格子を要するため、非常に高価になってしまうことが大きな課題であった。この課題を解決するため、本研究では赤外透過性と成型性に優れたカルコゲナイドガラスを基板として使用し、プロセスが単純なインプリント加工技術を活用することにより、赤外用ワイヤグリッド偏光子の製作を行うことを目的とした。 平成24年度は偏光透過率をより高めるために反射防止構造を付加した偏光子の作製を考慮し、インプリント加工による反射防止構造の形成を試みた。 【実験と結果】反射防止構造により高い透過特性を得るためには、使用波長よりも充分に短い周期をもつ周期構造を形成することが必要である。このような周期構造をインプリント加工によって形成する場合、モールドの作製が重要となる。モールド基板は、高温でも充分な硬度をもち、加工性・離型性に優れたグラッシーカーボン(GC)を使用した。モールド作製にはWSiを成膜した基板の上にフォトレジストを塗布し、He-Cdレーザの描画露光・現像により、格子パターンを形成する。ドライエッチングにより、GCの表面に格子構造を形成し、この基板をモールドとして、カルコゲナイドガラスへのインプリント加工を行った。253℃に加熱した状態でGCモールド基板をカルコゲナイドガラスに3.8MPa、90秒間押し当てた結果、周期3μm、格子深さ1.63μm、フィルファクタ(周期と格子幅の比)0.7の格子構造が得られた。この試料の透過率測定を行った結果、格子に対して垂直な偏光において、波長9~10μmにおいて10%以上の透過率の向上が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この2年間でカルコゲナイドガラスへのインプリント技術を確立し、ワイヤグリッド偏光子や反射防止機能を持つ素子を製作することができている。また、両面インプリント加工の準備も整えることができている。 学会や論文、特許などでも順調に発表することができていることから、問題なく研究が進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
両面インプリント加工技術を確立し、片面に反射防止機能、そしてもう一方の面に偏光機能を形成した素子の作製に取り組む。基板透過率より高いTM偏光の透過率を有するワイヤグリッド偏光子を作製することを目標とする。並行してその成果を学会、並びに論文で発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光学部品、ステージ、パターニングに必要なレジスト、基板洗浄に必要な薬品などの消耗品を購入する。また、国際会議での発表における渡航費や、論文投稿費などにも費やす予定である。
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