2011 Fiscal Year Research-status Report
透明物質中でのナノスケール超音波パルス伝播の可視化法の開発
Project/Area Number |
23760063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
友田 基信 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30344485)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ピコ秒超音波 / 光計測 / 超音波計測 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者が過去に開発した新しい光測定技術(超高速光干渉トモグラフィ)をより発展させることである。超高速光干渉トモグラフィとは、透明試料内部で光励起による現象(例えば超音波パルスの発生・伝播)によって引き起こされる屈折率変化の空間分布を、光の干渉を利用して光波長(数百ナノメートル)・ピコ秒の分解能で得るものである。この手法の研究はまだ初期段階であり、今回の研究ではより高感度・全自動で計測するシステムを構築することを目的とする。また、この手法を超音波パルス伝播の観察に応用して、透明媒質の屈折率と音速の空間分布を非破壊的に得る手法についても開発する。 本年度は、まず超高速光干渉トモグラフィ法を実現するための、自動測定装置の開発を行った。これは、試料に入射する光線の入射角を走査させながら測定するものであり、試料と光検出器を回転軸を揃えた2つの回転ステージにそれぞれ配置したものである。自動測定装置で得たデータと、従来得られていたデータを比較するために、従来と同様の半球ガラスに金属膜を蒸着したものを試料として用いた。自動測定装置で得られたデータは、従来のデータに比較して測定時間や精度、また実験に必要な手間の点で大きな改善が得られた。この結果は、修士2年の学生の修士論文研究としてもまとめられ、また、学会等でも発表する予定である。 さらに、媒質の屈折率と音速の空間分布測定の研究についても、新たな測定装置の構成を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当該年度の研究目的であるピコ秒超音波パルス伝播の自動測定装置については、概ね予定通りのスケジュールで進んでいる。研究成果は、国際会議でも発表する予定であり、今後、論文にもする予定である。 もう一つの目的であった媒質の屈折率と音速の空間分布測定の研究についても、新たな測定装置の構成を考案し、重要な部品である高開口数対物レンズを購入した。次年度に装置開発する準備はだいたいできている。
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Strategy for Future Research Activity |
ピコ秒超音波伝播の研究については、修士学生1名と一緒に進めてきた。その学生は本年度で卒業・就職してしまったが、修士論文研究では成果発表する価値のある結果が得られているので、まずはその発表を行う予定である。 媒質の屈折率と音速の空間分布測定の研究についても、新たな装置を開発する準備はだいたいできている。新たに研究室に分属される4年生1名と一緒に研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に行う新たな装置開発に必要な物品については、最も高額となる物品である高開口数対物レンズは既に購入している。他に必要になる装置等の物品については、研究室にある既存の装置をできるだけ使うことで乗り切り、光学部品等の消耗品を必要に応じて研究費で購入する予定である。 23年度未使用額である13796円は、光学部品を買うには不足であるため、次年度分の予算と合わせて使うこととし、未使用とした。次年度にはこの額も含めて、必要となる光学部品を購入する予定である。 また、成果発表として、本研究を国際学会等で発表するための旅費として研究費を使用する。
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Research Products
(1 results)